日刊ニュース

2011.01.17 のニュース

年明け原油は90ドル台でスタート ―08年の高値相場を予想する見方も―

 2011年、年明けの原油価格は高騰しており、WTIで90ドル/バーレル台で推移している。最近の原油価格をみると3年前の8年の年初は100ドル(7月には145ドルの最高値を記録)であったため、この時期に比べると10ドル低いが、当時と同じ値動きという見方も出てきた。
 09年の年明けの原油価格は前年の反動で45ドルという低水準となり、10年の年明けが80ドルに上昇した。10年は、70~80ドル台の価格帯で推移、年平均では79.81ドルとなった。11年のスタートは90ドル台となっているが、今までのトレンドでみると今後は値上がりが予想されている。
 エネルギー経済研究所の11年の見通しは、基準ケースで85ドル、高価格ケースは95ドルを想定しており、石油業界も80~90ドルを見通している。足元の12日は91ドル台であり、ブレントは98ドル台と100ドルに迫っている。
 最近の原油価格の値上がりは①アメリカの金融緩和策で投資資金が商品市場に流れている、②アメリカ東部、ヨーロッパに寒波が到来している、③中国などの新興国の経済成長が続き石油需要が増加する、④為替のドル安、ユーロ高が進み原油価格を押し上げる、などの点があげられている。原油価格の変動は需給要因でなく金融的な要因で動くため予測することは難しいが、今のところは強気な見通しが大勢を占めている。
 原油価格は高値で推移するとの見方から、国内の市況形成も90ドル相場を前提とした取り組みが求められている。さらに08年のような100ドル相場の再来という可能性も出てきた。高値は経験済みであるが、準備が必要な状況となってきた。原油価格は高騰しているが、為替が82~83円/ドルと円高で推移しているためコスト増は相殺されており、危機感は緩和されている。しかし、これ以上値上がりすると消費節約が浸透して販売減となるため、その影響が心配される。減販となると、価格競争が再燃して市況下落という悪循環が繰り返されることになる。
 今のところは、国内市況も原油価格の高騰を受けて先物、業転市況は値上がりしており、仕切価格も値上がりしている。仕切価格の値上がりを受けて、ガソリンのユーザー転嫁が実施されており、かなりの浸透をみせているが、販売業者は価格競争でマージンが減少している。元売のマージンも昨年に比べると減少気味である。
 原油価格が高騰するケースでは、コスト増の転嫁が遅れることになる。タイムラグが生じるためで、ある程度はやむを得ない。だが、直近の業転市況に連動する週決め制という仕切価格の改定で対応しているため、タイムラグは短縮されてきた。業転市況が原油高のコスト増に直ちに反応するには、常に需給をタイトにすることがポイントとなる。
 今のところガソリン需要も微増か横ばいで推移しており、各社の生産も需要に見合った数量で対応しているため在庫も少なく、需給はタイトで推移している。ユーザー転嫁は遅れ気味だが、まずまずの状況にあるものの、安値地区ではマージンが減少している。ガソリンの末端市況は、街道沿いのボトム価格で130円台に乗せているが、HC、量販店の周辺では125~6円の安値に対抗して同値で販売しており、マージン減で苦戦している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE