日刊ニュース

2010.07.14 のニュース

参院選 民主党が敗れ、ねじれ現象 ―来年度予算、政策面にも影響―

参議院選挙の結果は、与党の民主党が敗れ、自民党が勝ち、与野党が逆転した。
 直嶋経産大臣、増子副大臣は当選したが、参議院は、ねじれ現象が生じることになり国会運営は難しくなる。参議院のねじれ現象を民主党が活用したのが08年4月から1カ月間のガソリン税の暫定税率の失効である。1ヵ月後の5月に復活したが、石油業界は大混乱を経験したのと、これを契機に、次の総選挙で民主党が勝ち政権交代のキッカケとなった。
 それでも衆議院は民主党が多数を占めているため政権を担当するが、連立の枠組みの変更が行なわれるのか、見通しも難しくなってきた。さらに政策推進、予算編成、予算執行などの面では与野党の対立が表面化することが予想される。
 経産省など各省は、来年度に向けて新政策の検討に入っており、参議院選挙の結果待ちであったが、与野党が逆転することになり、行政の立場にあって対応が難しくなってくる。選挙が終わり、これからは、まず8月末の来年度予算要求の本格的な作業に入る。10月には特別会計の事業仕分けが実施されるなど予算編成でも大きな山場を迎える。
 今年度の石油石炭特別会計予算の要求案は昨年8月の自民党時代に提示されたが、9月の総選挙で民主党が勝ち、政権交代が行なわれた。だが、予算は一部組み換えられたが、ほぼ自民党の予算案が踏襲された。事業仕分けで、販売業界に対してSSのタンク撤去に際しての補助金は廃止となったが、その他の石油対策は修正されることなく予算に計上された。
 来年度予算については、5月20日の民主党政府の事業仕分けで、日本エネルギー研究所が実施している石油製品の市況調査が廃止と決まった。さらに、5月28日の経産省の「行政事業レビュー」(経産省の事業仕分け)で石油協会、全石連が実施している「経営高度化調査・実現化事業」と「災害対応型SS普及事業」が廃止という評価を受けた。
 全石連では、これらの事業は重要であるとして復活を求めているが、来年度予算要求で、完全に廃止となるのか注目されるところである。来年度予算は本当の意味での民主党政権による編成となるが、今回の選挙での敗北によってどのような影響が出るのか流動的となってきた。
 石油政策は、エネルギー基本計画が閣議で決定されているため、大きくは変わらない。石油業界の意見を受け入れており、予算措置も確保されそうである。しかし、石特会計の仕分けが実施されるのと、長期にわたる補助金制度は削減される公算が強い。
 また、地球温暖化対策基本法は、前国会で審議未了で廃案となっており、その扱いが問題となる。政府としては、当然、成立を期すことになるが、この25%削減の中期目標は選挙でも論争にならず、様変わりの様相となってきた。法案成立とは関係なく、温暖化対策税(環境税)、排出量取引問題は、導入を前提に検討することになっているが、産業界には反対意見が強く、年末に向けて調整できるのか焦点となってくる。前鳩山政権の公約であり、目玉策であっただけに、これから開催される臨時国会での審議が注目される。

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