2010.07.22 のニュース
論説 「新・新」は改善が不可欠
卸価格に、経営者自らが弾き出した必要収益を乗せて小売価格を形成する。この収益に量を乗じた総収益が経費を上回れば利益、経費に達しなければ損失となる。これが正常な商売の姿であろう。
元売と特約店との取引慣行で、陋習として続いた事後調整は、建値の仮卸価格に対して、損失補てん名目で元売から支給されたもので、その陋習との決別は幾度も宣言されたが、「週決め・新仕切り体系」が標準化されたことによって、完全に過去のものとなった、と見ていた。
ところが新仕切り体系は、元売自らが招いた生産過剰体質によって、採算割れと同義となり、この4月以降、複数元売が新たな変更を断行した。その結果、「先決め」と「後決め」の2大方式が混在し、無印SSと系列SSの価格差を拡大してしまう「新・新」仕切り体系が、業界基準となった。
小売の意見がほとんど反映されなかった「新・新」の導入プロセス自体に大きな問題がある、という意見は、新陣容となった全石連、都道府県石商の組織活動の場で噴出している。それらは、ほぼ「優越的地位の濫用」という語句で総括されているが、特に選択肢がない業転リンクのみの「後決め」には、多くの批判が集まる。
事後調整時代へ先祖がえりする。価格変動リスクを小売サイドヘ全額付け回しする元売の勝手仕切り。卸メニューの選択肢がない。不透明と不公平の巣窟となる懸念が大。仕入れで系列が割高=不利な制度としながら、ブランド料なる自己都合価格を上げるセンスは最悪。透明とは言い難い業転現物市場リンクを中枢に据え、インフラとして育む方向が望ましいとされる国内先物市場との連動を全廃したことは、国の基幹産業として、担うべき責任においても評価できない。石油石炭税によって2円強ほど輸入圧力から守られながら、さらに国内石油価格を割高に誘導する方向は、骨太とは相反する。外資系外販価格がベースとなっている仕組みにはアレルギーが残る。
以上が、続出した意見の概要集約だ。
資源からSS店頭販売に至る国内の石油精製販売サプライチェーンを健全に保持する必要性は、石油販売業界も完全に理解する。明日に備えるための多少の恣意性は我4も共有できる。早期の多少の改善こそが元売、販売の双方に必要だ。