日刊ニュース

2010.07.30 のニュース

大口C重油値決め経費増を加算 -新年度入りでコスト算定を見直し-

JX日鉱日石エネルギーは27日、4~6月の大口向けC重油価格が決まったと発表した。東電向けLSC重油は5万7770円/KLで、前期(1~3月)の5万3860円に比べ3910円の値上がりとなった。王子製紙向けHSC重油は5万1750円で、前期の4万8950円に比べ2800円の値上げとなった。
 原油価格、国際価格、ボンドバンカー価格の値上がりと為替が円安に転じたためのコスト増によるものである。ちなみにLSC重油の生産品対象の南方原油のCIFは84.7ドルで5.1ドルの値上がり、中東原油のCIFは80.9ドルで3.4ドルの各値上がりとなったことが、C重油値上がりの主な要因である。加えて平成22年度入りとなり、経費等のコストの見直しが行なわれた。
 この大口向けC重油の値決めは、3ヵ月単位で原油、石油製品価格、為替、経費を加算した原価計算(フォーミュラ)によって決められている。スタートは昭和45年4~9月に6ヵ月単位で実施され、当時はLSC重油は6200円、HSC重油は5500円という低価格となっており、長い期間にわたっている。
 ガソリンなどの燃料油が業転市況に連動した週決めとは違って、コスト連動方式による値決めとなっている。大口ユーザーであるため、石油業界が安定供給を保証するが、その代わりユーザーもコストを負担するということで双方の了解を得て成立している。
 毎年、年度初めに経費、海外の重油市況などを参考に、その時期に応じてフォーミュラの見直しが行なわれているもの。今年は、LSC重油の経費として1350円増が認められた。原油処理に伴う自家燃料の値上げなどの経費増が認められた。同時に重油の輸入関税が引き下げとなり70円のマイナスとなっている。生産品価格の経費は5451円であったが、4月から6662円となり1211円の上げとなっている。この6662円が精製マージンとなるが、自家発電の燃料費の増加など経費増が加算されている。
 HSC重油では、備蓄防災費他として500円増が認められた。だが、合成比率で生産品が75%、ボンドバンカーが25%としていたものが、4月から73%対27%に変更された。ボンドパンカーの方が安価であるため、この合成比の変更で100円のマイナスとなる。備蓄防災費で500円増となったが、合成比率の変更で100円のマイナスで相殺すると400円の増となった。
 いずれにしても経費増が認められたことになるが、利益という項目はなく、大口C重油の値決めでは、コストは回収できるが、適正利益は確保できない状況にある。コスト増が認められれば、マージンの増加にも通じることになる。その他のユーザーとの価格交渉にも参考材料となるため有利となる。
 このフォーミュラが決まったことで、今後は原油価格、為替の変動を加算することで価格が決定することになる。同時に、7~9月価格が打ち出された。原油価格が値下がり。為替が円高となり値下げとなっている。7~9月のLSC重油価格は3870円の値下げとなり、5万3900円となる。HSC重油は3650円の値下げで4万8100円となり、1~3月価格にほぼ戻ることになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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