2010.08.02 のニュース
時評 石油各社7~9月も減産で出揃う -灯油など低在庫で需給バランス保つ-
JX日鉱日石エネルギーは8月の原油処理を前年比で実質3%減産、コスモ石油は8~9月で10%減産を実施すると発表している。コスモが大幅な減産となるのは千葉製油所が定期修理に入るためである。他社も7~9月で3~4%の減産で対応することにしており、減産で足並みが揃っている。
国内の需要は年間で4%程度の減少が見込まれており、その意味では実需に対応した減産となる。今後、猛暑が続きガソリン販売が好調で推移移し、さらに、電力需要が増加してC重油の販売が増加することになれば、需給がタイトで推移することも予想される。`
一方、石油製品の在庫も低位で推移しているため、需給は安定しており、この状況が続けば、上期はマージンが確保でき、黒字で乗り越えそうである。4~6月は定期修理の時期にあり実質減産となったため、石油製品の需給はバランスを保ち市況も安定して推移した。そのため石油各社のマージンは確保され、業績は黒字となっている。引き続き7~9月も黒字を狙って減産で対応することになっている。外資系は1~6月の中間決算では、上方修正で増益を発表している。
このように、減産効果で製品在庫は低位で推移している。石油連盟の調査による在庫(24日)は、ガソリンが213万KLで前週比で4.5万KL減となり、前年と同水準で推移している。猛暑で販売数量も好調であり、需給は安定している。末端市況は、小幅であるが値下がりしており、ここにきて市況立て直しに取り組むことになっている。原油価格は横ばいで推移、業転市況も安定しているため、末端市況は中だるみ現象が出てきているものの、販売業者は120円台の安値を130円台に乗せることで取り組む。
軽油の在庫は183万KLで、前年並みで推移している、灯油は193万KLで、前週に比べ8.6万KLの増となったが、前年比でみると60万KLも低い水準である。夏場の灯油在庫が低いことを心配するむきもあるが、石油各社は、灯油の販売が電気、ガスヘの燃料転換で今後も減少が統くと見ており、供給面では心配ないとしている。
灯油在庫が前年に比べて少ないのは、①コスト削減で余分な在庫を持たない、②原油価格の見通しが難しく冬場に高値となるとは限定できない、③同じく国内の灯油も冬場に値上がりするとは限らない、④暖冬になれば大幅な減販となり、市況も急落してコスト割れも見込まれる、などの不確定な要因も多く、灯油商戦は大きく儲かるが、その反面リスクが伴なうため、慎重さも求められる。
また、灯油シーズンが本格化するのは12月であるため、8月で在庫を積み増しすることはなく、11月末の在庫を確保すればよいとの見方にあり、在庫の積み増しのテンポは例年に比べると遅い。在庫が低位であっても設備には余力があり、直ちに増産が可能であるのと、輸入増で対応ができると見ている。昨シーズンも寒波が遅れて到来しため、急速輸入したこともあり経験済みである。
そのため在庫は低位で推移しているが、無理をして灯油のみを増産することなく、原油処理を抑えながら在庫を確保する方針で対応している。