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差別化、新時代へ 10PPMガソリン登場で 2003年09月03日更新

東京都内の2路線で“燃料電池バス”が走行しはじめて話題になっている。
 今年年初からトヨタ、ホンダが燃料電池乗用車を発売しはじめている。バスも乗用車も1台1億円といわれるが、実質は今のところ値のつけようがない状況。
 いずれ家庭の電源プラス熱源として燃料電池が投入されて来る日も近い。各家庭でオンサイトで自家発電をやりコ・ジェネを実現するには最もふさわしいエネルギー源になることが目に見えている。東京ガス、大阪ガスをはじめ各地のガス会社がトップランナーとしてノウハウを重ねている。祭日石、出光、コスモなどもこの分野で走り出している。
 もうひとつ、小型携帯用燃料電池を忘れることはできない。パソコン、デジカメ携帯電話の電源として小型化され、オンサイトで供給される簡単エネルギー原として開発が進んでいる。
 自動車、家庭用コ・ジェネ機器、小型燃料電池、これらはいずれも様々な分野の技術開発によって成り立っている。ガス化技術、電池技術、デバイス技術、電送技術など様々な分野を綜合した結晶の具体化しだものが燃料電池技術であり、今年に入って自動車発売を機にこれら各分野の技術開発がいっきに加速されている感じがする。
 これらのパーツ技術が革新されていけば燃料電池が多くの分野に導入されていくことは目に見えているが、その低価格化技術がどのように、いつ開発されるのかがまだ明らかではない。
 そんなところから、この水素社会のエース技術も、かつての“サンシャイン計画”のように“かけ声”で終わるとの見方も確かにある。“サンシャイン計画”はかつて政府が主導して石油ショック後のエネルギー危機に対応しようとして太陽光発電などの開発をめざしたものだが、高価格がネックになって長年足ぶみ状態が続いた。それが近年デバイスの開発が進み比較的低価格化が可能になったので最近では太陽光発電住宅も増え、その住宅団地も各地で生れている。
 “燃料電池”が“サンシャイン”と少し違うのは、その根幹をなす「水素社会化」が、欧州、米国、日本など世界各国の底流となっていることだ。今年秋には「日米エネルギー会議」が開催されるが“燃料電油”がその主要テーマになることはまちがいない。米国は今日本に出し抜かれた感のある“燃料電池”についてブッシュ大統領が大号令をかけ国家プロジェクトで取組んでいる。日本との合同会議で情報交換と討議を行ない、方向性を見出したいというのが日米エネルギー会議の本当のテーマだろう。
 日本の諸技術の蓄積からすればおそらく“小型携帯用燃料電池”の普及が最も早いのではないだろうか。次に家庭用燃料電池。東京ガスは20万円台の機器の開発に向かって動いている。
 こんな中でSS業界にとって最も関係のあるのは燃料電池自動車だが、これはまず自動車が普及してこなければ動いてこない。資源エネルギー庁は、将来的には各地のSSが水素ステーション的な存在となると考えている。自動車が普及しはじめるのは2010年前後からとみられているがその前にクリアしなければならない課題が山積しており、まだまたこの分野は“夢物語”である。
 その前に必ずやって来るのが目前の10PPMガソリンの時代だ。現在世界的に見ても2008年というのがひとつのターゲットだが、日本においては“早出し”で2005年から新日石、コスモなど各社は10PPMガソリンを販売しはじめると見られる。
 エネ庁も16年度予算要求で10PPMガソリン、軽油の早期供給には、新規に51億円を計上している。新たに必要となるコストを、その供給量に応じて補助することにしており早期普及を促す。
 当然、コスト増になるが、これは末端転換によってカバーし、“差別化商品”“高付加価値商品”として位置づけて販売すべきである。
 2005年1月からのSS販売(供給)となれば、生産開始は2-3か月前となるため生産体制を整備面するにはあと1年半しかない。
 SS業界でも、この10PPMガソリンの販売が大きな“変化”の時代を見えることになる。環境対応の新商品を発売するのを機に業転玉を買い上げ、コスト競争に血まなこになっている状況を改めるべきである。

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