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セルフよもやま話 セルフスタンドコーディネーター 和田信治 2003年04月21日更新

今月に入ってから、業転玉の価格が続落している。愛知県に本社のある中川物産は、ガソリン卸値を今月11日までに4円50銭も値下げした。お陰で、全油種・全量を業転玉でまかなっている、我が「セルフスタンド日進東」も恩恵を被っている。周辺のスタンドはといえば、今月に入って足並みそろえて3円程度値上げし、レギュラー価格が軒並み500円台になってしまったので、“市況は値上がり、仕入れは値下がり”という、一年に一度あるかないかの状況にある。ちなみに現在私の店のレギュラー価格は95円だが、それでも10近い粗利がある。まわりのスタンドとの価格差が開いたため、このところ横ばいだったボリュームもやや上向いてきている。
 しかし、こんなイイ事は長くは続かないだろう。そう、もうすぐ“魔の大型連休”が始まるからである。毎年、年末商戦で下がりきった価格を、市況是正と称して、二月半ばぐらいから採算値にまで修復してゆくのだが、灯油が売れなくなり、大型連休の声を聞くころには、ガラガラと崩れてしまうのだ。今年はイラク戦争があって懸命に便乗値上げをした結果、全国的に久々の100円台実現となったわけだが「もはやこれまで」である。
 そのように市況が崩れると決まって「セルフが悪い」となるわけだが、積み上げては崩し、また積み上げては崩すというこの年中行事は、セルフ時代が到来する前から繰り返されてきた事である。要はこの業界の品性の問題であって、セルフに罪はない。むしろ、いつ果てるともなく繰り返される価格戦争を生き抜くために、セルフ化という手法が許されるようになったことは、ガソリンス夕ンド経営者にとって歓迎すべきことてある。季節はようやく春めいてきたが、我が業界の春はもう終わろうとしている。次に来るのが日照りだろうが、吹雪だろうが、セルフによる徹底的なコスト削減でこれに耐え抜く覚悟である。

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