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「原油価格の高値はいつまで続くか」 2004年06月22日更新

前回のコラムで 原油価格の決まる仕組みについて述べましたが 今回は高値が一体いつまで続くのかについて考えてみましょう。まず US$40/Bbl.前後の原油価格(W.T.I.)は経験的には大変な高値で クウェートがイラクに占領された湾岸戦争時の高値価格に匹敵しています。今度も またもやイラクがらみですが 原油の生産や輸出の機能が破壊されたわけではありません。それにしては高すぎるというのが正直な実感です。

ウオール街のトレーダーもおそらく同じように思っているでしょう。原油価格の上昇により十分な利益を手にした彼らにしてみれば そろそろ買いから売りに転じたいところです。しかし 売りに転じるにはきっかけが必要です。そのための材料捜しに 懸命となっている筈です。しかし なかなか材料が見つかりません。
米軍の戦後統治がうまくいっていれば 格好の材料となるのですが 現状はその逆で泥沼の様相を呈しています。6月末にイラク人による政府を創設すると言っていますが これも危うい感じがします。

さらに イラク国外においても 反米反欧テロが続発しており なかでもサウジにおけるテロが深刻さを増しているのを見ると とても売りに転じることはできません。
サウジの事態がもっと悪化して 原油の輸出に影響を与えるようなことになればこれは売りどころか 思い切った買いに入りたいところです。 この場合にはおそらくUS$60/Bbl.位が視野に入ってくるでしょう。つまり 売るための材料が見つからず さらに買い上げるための材料は いつ入ってきてもおかしくないのが現状です。当面は 強含みの横ばいといった状況で推移するのではないでしょうか。

イラクの民政移管がどうなるか サウジで原油輸出に影響するようなテロが起こるかこの辺りが今後の原油価格の動向を決定付けることになりそうです。 尚 原油価格がさらに上がると 米国内のガソリン価格もいっそう高くなりますが 米国では自動車は必需品であり 国民はガソリン価格には伝統的に敏感で 選挙にも影響が大きいと言われています。このガソリン価格がさらに高騰すると ブッシュ再選も難しくなると思われ ブッシュ政権が原油価格上昇を防ぐための何らかの策を講じることも考えられます。 このあたりを 売りに転じたいトレーダーは おそらく見ているでしょう。

(一本杉)

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