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湾岸戦争10周年、イラク、イスラエル、ブッシュ政権 2001年02月26日更新

中東情勢が流動化の兆しを強めている。ブッシュ米新政権は選挙中からイラクに対する姿勢を強化する意向を示していたが、英軍と共同で先週イラクを空爆した。イラクはこのところ意気が上がっている。国連の大量破壊兵器査察は1昨年夏から停止しているが国連は何の対処もできない。安保理も石油利権に関心のあるフランス、中国、借款返済を求めるロシアと、英米とが分裂し機能不全に陥っている。クリントン政権の後半期にイラク制裁が空洞化し、ブッシュ政権としては対イラク政策を立て直す必要がある。
 イラクは原油生産・輸出が能力の限界に達し、原油価格上昇で石油収入が増加、50億ドル以上の余裕資金を抱えて、財政に余裕があるため原油輸出を急がずプレミアムを要求する強気の価格政策をとっている。パレスチナ自治政府への支援を計画し、エジプト、シリアと自由貿易協定を締結、ヨルダンにも協定を広げ「アラブ自由貿易圏」を創設する構想を打ち出している。
 イスラエルでは、クリントン政権が異常なまでに関わっていた和平交渉が失敗、強硬派のシャロン・リクード党首が圧倒的多数で首相に選任された。シャロン党首は1973年の中東戦争でスエズを越えてエジプトに侵入したり、レバノン占領など軍事的強硬政策をとってきただけにアラブ側の警戒心が強い。アラブ諸国は3月に首脳会議を開催、イスラエルへの対応を協議するが、これにサダム・フセイン・イラク大統領が出席するとの見方がある。アラブがイラクと共同して、イスラエルに対決する可能性も否定できない。
 イラクは新しい大量破壊兵器を開発し、それを使用するための弾道ミサイルも入手しているのではないかとの推測もある。一方、湾岸戦争以来、湾岸諸国は大量の兵器を購入、軍備を格段に強化している。湾岸戦争から10周年、中東の政治・経済・軍事情勢が転嫁の時期にきているといえる。

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