2010.08.03 のニュース
論説 セルフSS増勢、いかに臨むか
今年3月末の全国セルフSS数は1年前と比較して新設683ヵ所、撤退161ヵ所の合計8296ヵ所。ついにSSのセルフ化比率が2割を超えた。セルフ解禁から12年間の推移をみると、各年度の平均参入数736ヵ所に対し、撤退数は45ヵ所。毎年約700ヵ所ずつ増えてきた計算で、参入総数は8833ヵ所、撤退総数は537ヵ所となる。09年度の純増数522ヵ所は過去4番目の少なさで、この9年間では最少だった。昨年度は751ヵ所増、ピークだった06年度の1206ヵ所増と比べれば半分以下。参入ベースの鈍化と撤退ペースの加速化が顕著に現れている。
セルフの解禁当初を振り返ると、その安全性、社会受容性、有人化によるコスト効果、フルサービスとの価格差、そして競争激化の懸念などに関心が寄せられていた。現状評価はさて置くとして、セルフ開所が近隣への次なるセルフ出店につながり、価格競争に拍車がかかった市場は数多い。
給油方式の一形態としてすっかり定着したセルフ。石油情報センターが集計した給油所経営・構造改善等実態調査によると、近年ではフルからの改造が減り、新設が増える傾向にある。フル、セルフ別で、敷地面積300坪以上はそれぞれ25%、62%、自社所有率は73%、42%、ガソリンの地下タンク容量は25KL、47KL、月間販売量は70KL、262KL。セルフが販売シェアで全体の約4割を占めるに至り、200KL以上販売するフルは4%であるのに対してセルフは60%と、存在感は増すばかりだ。
また、油外商品の月間売上高でも、フル133万円でセルフ149万円。うち自動車関連商品がフル57%、セルフ28%、洗車はフル23%、セルフ50%と対照的。他方、消費者意識としては、フルの場合は安心感や無料サービスの提供、セルフは安価・明朗な価格表示や押し売りの回避などを評価している。
地下タンク規制の強化でミドルエイジに達したフルの相当数が“ふるい”にかけられる一方、ローティーンのセルフが残り、セルフ率が急上昇する可能性もある。「セルフオンリーのフル未体験」ドライバーさえいる時代。この現実に向き合い、構造的な石油需要減に見合う経営を貪欲に模索することで、フルびいき・セルフ好き、フル嫌い・セルフ敬遠それぞれの顧客ニーズに応えたい。