2010.08.12 のニュース
論説 危機を訴える夏
石油業界の政府や政党に対する税制改正や支援制度創設の要望活動が、例年以上に早い時期に本格化している。普通ならば全石油や油政連は秋口以降、政府・与党への要望活動を始めるところだが、今年は少しでも多くの議員から理解と支援を得なければならないことから、中央・地方ともに早々に要望活動が始まっているのである。
この早い動きの背景には、直接、地面に埋設している40年以上の一重殻地下タンクに対し、所定の漏洩防止対策を義務付ける消防法の省令改正が、来年2月に施行されることへの危機感がある。
2年間の猶予はあるが、省令で定めた漏洩防止対策を講じるためには大きな投資が必要となる。老朽化したSSを持つ事業者はその多くが中小零細企業であり、事業継続のためには支援制度の導入は必要不可欠。
こうした切実な事情を反映して、各地で「とにかく地元業界の声を伝えなければ」との思いが地元選出議員や政党県連などへの積極的な要望活動につながっているものである。昨年の政権交代で地元を代表する議員の顔ぶれが変わった。深刻化するSS事業者の経営状況や業界実情について、あらためて説明しなければ理解を得られない状況だ。現在のところ、今回のような「義務付け」という規制強化に対する支援の必要性については理解を得ているようだ。
中央では増子輝彦副大臣をはじめとする経済産業省の政務三役、ほかにも国会や与党民主党の幹部や石油販売業界に理解を示す議員に対し、SS業界の実情を詳しく説明し、なぜ支援が必要なのかということも含めて説明している。また、今月5日の経済産業省の税制改正要望ヒアリングでは、テーマが税制改正であるにもかかわらず、予算要求でもある支援制度の創設を業界の喫緊の課題と訴えた。
臨時国会は先週末に閉会した。旧盆などもあることから与野党の多くの国会議員が地元で支援者回りをしている。読者である組合員のみなさんがそうした議員と接する機会には、ぜひとも業界のこの問題について説明をしていただきたい。
1SS当たり国税・地方税合わせて年間1億円の税を徴収しているという税収への貢献。生活インフラとしての役割や地域社会での安全・安心の拠点としてのSS。こうしたアピールをしながら今回の危機に対する支援を訴えていただきたい。