日刊ニュース

2010.08.17 のニュース

時評 廃止となる週動向調査の活用増える -販売業者もユーザー転嫁の指標に-

石油情報センターの週動向調査の廃止が決まっているが、ガソリン市況は値下がりが続き、調査結果が注目されている。9日調査では133円90銭となり、前週に比べると20銭の値下がりである。僅か20銭であるが、11週連続の値下がりとなる。四捨五入では134円となり前週の横ばいとなる。5月が140円であったため、通算では6円の値下がりとなる。
 統計では11週連続の値下がりとなるが、この間、原油価格も値下がり、仕切価格も値下がりしているため末端市況を反映した価格水準となっている。この調査価格は現金価格であるため実勢価格に比べると割高となっている。首都圏でみても東京は135円、神奈川は132円、千葉は131円、埼玉は130円となっており、130円台に乗せている。しかし、街道沿いSSの125~6円に比べると大幅な価格差がある。それでも市況の目安として唯一の資料であり、これに代わる市況実態を示す資料がないため活用されている。
 元売、石商でも調査しているが内部の調査であるため、信頼性を欠くことになる。総務省、地方自治体も価格を調査しているが、消費者物価として調査しているもので、集計には1ヵ月以上も時間がかかるのと、調査数が少なく速報性を欠くなど問題点も多い。
 これに対して週動向調査は、市況が大幅に変動する時期にはマスコミでも活用している。ガソリン税などの暫定税率の廃止、08年の原油価格の急騰時には、その調査結果がニュースとなった。
 販売業者サイドも週動向調査の動きをみて市況対策に取り組むことになってきた。仕切価格の改定が週決めとなったことからユーザー転嫁も急ぐことになった。仕切価格の改定は金曜日に通告、土曜日から実施日となるが、即ユーザー転嫁は難しく、月、火曜日となっていたが、水曜日となるケースも増えてきた。
 週動向調査は月曜日に実施、水曜日に公表となっているため、この水曜日発表の調査価格をみてユーザー転嫁に取り組むことになってきた。価格水準もポイントとなるが、値上げ基調か値下げ基調にあるかの判断材料としても活用されている。
 この調査価格の動向に石油業界では一喜一憂しているが、事業仕分けの対象になり、条件つきであるが廃止が決まっている。そのため来年度から廃止となりそうであるが復活を狙っている。すでに月次の調査は事前の経産省の省内仕分けで自主的に廃止を決めていただけにエネ庁も予想外の結果となった。
 だが、国が予算を使って週単位で調査することが、必要なのか無駄なのかは意見が分かれるところである。石油業界、資源エネルギー庁では、緊急時などの混乱した場合に通常から市況を調査することで実態を把握することが重要であり、調査を継続すべきと要望している。これから来年度予算要求が行なわれるが、どのような結果が出るのか注目される。
 市況調査をまったく廃止するのか、予算を削減して調査の方法を変更して継続するのかは今後の予算折衝次第となる。また、石油対策予算などの特別会計予算は10月で事業仕分けが行なわれるため、その意味では白紙となっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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