2010.08.25 のニュース
製品輸出増で需給バランス保つ -低在庫で推移、原油処理も増加-
石油連盟の週報(14日時点)による石油製品在庫は、1022万KLで前週に比べると21万KLの増となったが、前年比では約50万KL減となっている。油種別でみるとガソリンは192万KLで前週に比べると1万KLの減、前年に比べると1万KL増となった。いずれにしても200万KLを下回る低在庫である。7月は220万KL程度で推移していたが、8月はガソリン販売の最盛期であり、猛暑により増販となったため在庫は減少した。
灯油は200万KLで前週に比べると6万KLの増となり、ようやく200万KL台に乗せた。だが、前年に比べると80万KLも下回る低水準である。各社とも大幅な在庫減を心配していない。例年だと灯油は8~9月に在庫の積み増しとなるが、今年は大幅に遅れている。
これは灯油販売は電気、ガスヘの燃料転換が進み大幅な減販を見込んでいるのと、さらに在庫の積み増しは11月末をピークとみており9~10月以降に積み増しても間に合うとして急いでいない。仮に不足する状況になっても輸入でカバーできるとみている。軽油在庫も180万KL、A重油は101万KLで前年に比べると低位である。
各社とも、ジェット燃料、軽油、ガソリン等の輸出を増やすことで中間留分、ガソリンの在庫を減らしながら、同時に原油処理増を狙っている。ジェット燃料、軽油の輸出は増加しており、両油種計で1週間で60万KLをオーバーしている。通常は1週間で40~50万KLとなっており、この水準を上回っている。輸出の増加で在庫減となっている。
ガソリンは猛暑で増販となっており、在庫は低水準で推移している。中間留分、重油の国内販売は減販が続いているため供給増が心配されているが、輸出増で調整されているため在庫は低い。そのため原油処理も4~6月の定期修理時の低稼働に比べると7~8月は定期修理明けで増産となっているが、在庫減で需給はバランスしている。
各社とも輸出増を狙って原油処理増に期待をかけている。販売減によって過剰設備問題が浮上しているが、製油所の廃棄を伴う設備処理は中長期的な問題で、当面の対応策としては、輸出増で原油処理をアップしたいところである。
石油精製は装置産業であるため、フル生産しても減産で対応しても、精製費などの経費は大きく変わらない。減産しても経費は安くならないため、どうしてもフル生産を求めることになり、その結果、供給増となる。
現在の海外市況は国内市況に比べると割高でありマージンが確保できるため製品輸出増で対応し、原油処理増を狙っている。製品輸出はスポットが多く、海外の市況に大きく影響されるため不安定である。本来は長期契約を増やしたいところであるが、産油国、中国、インドなどの新興国で大型の製油所(50~60万バーレル/日規模)が建設中であり、これが完成すると輸出が難しくなる。逆に輸入が行なわれることも予想される心配も出てきている。
日本の製油所の能力は平均で17万バーレル/日であり、規模からみてもコスト競争力は弱い。コスト競争力の弱い製油所は自然に淘汰されることになるが、国内での競争力ではなくアジアでの競争力が問われることになる。