2010.09.08 のニュース
4~7月累計販売はプラスに ―7月増販も本格的な回復に至らず―
今年4~7月の4ヵ月間の燃料油販売は前年同期比で0.7%増となりプラスに転じた。4~6月の累計では0.5%減のマイナスであったが、7月販売が4.6%増となったためであり、8月も増販が見込まれているため、プラスが続きそうである。猛暑による影響でガソリンが増販になったことが要因である。
4~7月販売を累計でみるとガソリンが前年同期比で2.1%増、ナフサが1%増、ジェットが11.3%増、灯油が12.4%増、軽油が1.2%増となっている。マイナスはA重油の3.7%減、C重油の11.5%減であり、A・C重油を除いた油種は増販となった。 平成22年度の燃料油販売の見通しは4.2%の減少を見込んでいたが、この状況で推移すれば増加も期待できそうである。問題は今後の景気回復にかかっているが、ここにきて円高不況が心配されているため、早急な景気対策など民主党政権の対応が焦点となる。14日の代表選までは空白状態が続くが、景気回復の兆しが見えてきただけに政治の混乱は避けたいところである。
一方、7月の燃料油販売を油種別でみるとガソリンが7.2%、ナフサが2.4%、灯油が11.8%、軽油が6・9%、A重油が5.1%の各増となった。
マイナスとなったのはジェット燃料の0.5%の微減、C重油の4.1%の減となったが、燃料油全体では4.6%の増加となった。増販とはなったが、前年7月が8.7%と大幅な減販であったための反動であり前々年に比べるとマイナスであるため、まだ需要は本格的に回復していない。
C重油はマイナスが続いているが、猛暑で電力需要が増加したため、7月の火力発電は6.5%増となり電力用C重油の増販が期待された。
しかし、石炭、LNG、原油の消費は増加したもののC重油の受入は10電カベースでは69万KLで13%減、原油は39万KLで18%減となっている。電力用C重油は他の燃料に比べて割高となっているためマイナスが続いている。
それでも猛暑のため、東電はC重油の計画に対して追加オーダーを出したが、元売サイドでは、計画を上回る供給には対応が難しいケースも出ている。元売はC重油の販売減を見込んで長期にわたり減産で対応しており、オーダーが出ても通常在庫も少なく、直ちに増産するのは困難であり、早急に対応することは難しい状況となっている。
石油各社はC重油の販売が減少するとみて、重質油分解装置を導入するなど重油の生産を抑える製油所づくりを目指してきた。ただ、足元の原油価格は重・軽質油価格差が縮小され、巨額な投資を伴う重質油分解装置の増強はメリットがなくなり見送りとなっている。
経産省は需要の白油化に対応して、過剰設備に対応するトッパーの廃止、削減か重質油分解装置の増強による装備率の引き上げをエネルギー供給高度化法で各社に求めている。だが、石油業界からは、法規制で実施するのは問題がある、と反発も出ており、計画は10月末までに提出することになっているものの、各社の対応が注目されている。いずれにしても、重油の生産量は、ますます減少することになる。