2010.09.15 のニュース
ブランド料引き上げで議論 ―業転との価格差拡大で不満出る―
元売サイドは、新価格体系の見直しを行い実施しているが、販売業者からは不満と疑心暗鬼が出ている。主な意見は、①元売がマージンを確保するためブランド料を引き上げているが、ブランド料とは何か不明解である、②ブランド料の引き上げで仕切価格と業転市況との問に4~5円/Lの価格差が発生している、③価格指標は主に業転市況を指標としているが、その算定期間を変更(タイムラグの短縮)して通告日(金曜日)の直前の市況としており、元売の思惑も入るため不透明となってきた、などとなっている。
そのため全石連・経営部会では、今回の見直しで問題となっているブランド料の引き上げなどについて検討することになった。しかし、ブランド料などの問題は元売と個別の販売業者との商取引の問題であり、問題点を指摘しても、組織として調整、解決することは難しい。問題点を指摘することで改善を求めることになるが、元売が了解するか否かは別の問題となる。
新体系の見直しは、コスモ石油が4月から、JX日鉱日石エネルギー、昭和シェル石油が6月から、出光興産が7月から実施した。内容は、①ブランド料(販売経費)を加算する、②ローリー運賃を加算する(製油所から遠くなると高くなる)、③仕切価格の指標となる業転市況の適用期間を改定する(タイムラグの短縮)、などの点を改定したものである。
元売サイドでは08年10月から新日石、出光が業転市況、東工取の先物市況を指標に週決めの新価格体系を導入、その後、他社も追随した。仕切価格は、業転市況との間の価格差が縮小され公平で透明となり、販売業者も新体系を受け入れた。だが、予想外の販売数量減少で供給増となり、需給が緩和したため業転市況は下落、業転市況にリンクする新体系ではコストが回収できず、元売各社の決算は実質赤字となった。
そのため元売は適正マージン確保を狙い、ブランド料の引き上げなど見直しを行なったもの。また、供給増による赤字に危機感を強め、過剰設備の処理問興減産対応に取り込むことになり、各社の足並みが揃ってきた。今年4月以降は製品需給も調整され、6~7月は新体系の見直し実施と原油価格の値下がり局面とのタイミングが合ったためうまく相殺され、マージン確保は浸透した。
新体系の見直しは、ブランド料引き上げの時期と原油価格の値下がり時期が重なったことで相殺され、末端市況は横ばいで維持され浸透した。さらに7~8月は猛暑でガソリンは増販となり、業転市況も堅調で推移し、元売、販売業者ともマージンを確保している。末端市況は小幅な値下がりとなったが、仕切価格の値下がりの範囲内に留まったことになる。
しかし、ここにきて仕切価格と業転市況との問に価格差が拡大してきため透明さを欠くという不満が出ているもの。ただ、通告は金曜日、価格改定は土曜日となっているが、エクソンモービルの通告が1日早い木曜日となっているため、エクソンモーピルの出方を見て対応していることにもなる。販売業者も、仕切価格の設定に対して見通しは難しくなってきたが、業転市況リンクが基本であるため、今のところは予測が大きく外れることはないようである。