2013.03.28 のニュース
石連事業計画 新エネ計画に向けて提言-石油の位置付け、石油火力の活用-
石油連盟は、「政策提言」「税制改正要望」を織り込んだ2013年度の事業計画を策定した。エネルギー政策に係わる取組みでは、これから本格的な審議が展開される新しいエネルギー基本計画に対して、①石油の位置付け、②安定供給確保を最優先とする、③石油火力発電を供給安定型電源とする、④エネルギー間(石油とガスなど)の公平な競争促進を図るなどを提言している。
これらの提言は、従来から示していたもので、新エネルギー基本計画の策定を機に、再度、取りまとめたものである。民主党政権下でのエネルギー基本計画の審議は、大半が原発問題に終始したため、石油政策はほとんど議論されていない。今回の審議では、エネルギー関係業界からの意見を聴く場を設けることになっているため、石油業界の意見を述べる絶好の機会なる。
東日本大震災に際しては、石油の安定供給が大きな役割を果たしたことを再確認、石油の位置付けを求める。とくに石油火力については、原発の稼働が停止による不足電力をカバーしたのが石油火力である事実を踏まえ、災害時、緊急時に際してのみ石油火力に電力供給を求めるのではなく、平時から一定の供給を確保できるようにすべきであると電力業界に要請している。
震災前の電源構成では、石油火力のシェアが7%という低水準であったが、これを15%に引き上げるべきであるとしている。そのためには既存の石油火力の有効活用、リプレースの促進、その際に排煙脱硫装置の設置を要望している。
また、ガソリン、軽油、灯油などは需要が減少しており、その結果、SSなどのサプライチェーンが縮小、緊急時の供給が一段と難しくなっており、過疎化問題が提起されている。市町村内にSSが3ヵ所以下の地域は238地域もあり、ガソリン、灯油の供給(配達)に支障が生じている。その対策として過疎地では市町村がSSを運営する状況にあるため、緊急時に備えて灯油などを常時備蓄するよう要請している。緊急時に備えた対策としては、石油連盟と自治体とが、重要設備に係わる情報共有のための覚書の締結を実施している。
税制改正要望では、TAX ON TAX(二重課税)の排除を要望する。ガソリン税等の道路特定財源が廃止されたため、消費税と石油諸税が調整できない理由は解消されている。消費税が増税されると、その負担額は3400億円と倍になり、ユーザーの負担が大きくなる。さらに非製品ガスに係わる石油石炭税の還付制度の創設を求めている。25年度の税制改正で認められるとの見方もあったが、引き続き検討項目として見送られたもので、精製業の国際競争力強化のためにも強く要望する。
一方、車体課税の軽減から、その財源をガソリン税などの石油課税に求める動きがある。これに対して石油連盟、全石連が共闘で反対運動を展開している。この問題は、今年末に再燃することは必至であり、車体課税が軽減されても、これに替わってガソリン税が増税となれば自動車ユーザーの負担は軽減されず、ユーザーを欺くことになる。また、車以外の交通手段がない地方では、ガソリン税の増税は家計の負担増となることから強く反対することとなる。