日刊ニュース

2013.03.28 のニュース

巨大地震想定の主旨を生かす

東海、東南海、南海各地震の3連動も懸念される南海トラフ巨大地震の第2次被害想定が公表された。M9級の発生頻度は極めて低いとしつつ、東日本大震災の教訓を踏まえて「なんとしても命を守る」ことを主眼に置き、防災・減災対策を講じれば被害は確実に減らせると強調、「正しく恐れることが重要」とも指摘した。
 資産などの被害額は98~170兆円と想定され、東日本大震災17兆円の10倍、阪神淡路大震災の10兆円をはるかに上回る。また、生産やサービス低下による影響30~45兆円、交通寸断による影響5~6兆円を含めた被害額は最大220兆円に達すると見込んだ。ライフラインの最大施設被害は被災直後で2710万軒が停電、31都府県に及んで地域の9割を占めるケースもあり、1週間後には停電の多くが解消されるが、需要抑制が行われる場合がある。都市ガスは180万戸、17府県で供給が停止し、1週間後でも最大150万戸が回復しないという。
 翻って、石油業界関連では12製油所の操業が停止して精製能力は半減、油槽所やタンクローリーも被災し、東海~九州の多くのSSが倒壊・損壊などの被害を受けるなどの供給支障をきたし、1週間後もSSでの給油待ち渋滞が発生しており、トラブルや交通渋滞などが続く地域があって、1ヵ月後も燃料不足を解消できない地域が残るとされた。
 燃料は「生活に影響する物資」に分類されたが、復旧・復興を支える機能を含めて“ライフライン”に等しい。電線やガス管のような広域ラインを持たないことは、分散型エネルギーの強みとなる。同想定の主旨とする防災・減災対策として、「平素から自動車燃料をこまめに給油するよう呼びかける」「非常用発電機向け燃料の備蓄充実」「燃料補給の優先順位付け」「被災地へのローリー配備体制の検討」など、いま我々が各地で推進中の取り組みを着実かつ速やかに図ることが改めて求められている。
 我々からもお願いしたい。社会の要請に可能な限り応えるためにも、平時からの石油利用の重要性や、いびつな石油増税の阻止をご理解いただきたい。また、想定されている給油待ち車列や顧客間トラブルは商売上の誘客イベントとはまったく異なる。災害時に安全かつ円滑なSS運営が維持できるよう、行政面でもバックアップしてほしい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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