日刊ニュース

2010.09.16 のニュース

不可思議な逆行ブランド料

08年10月における週決め・新仕切りの際に、旧・新日石における下限値の考え方に目を見張った。原油CIFに石油石炭税を乗せたのみに見えたこの考え方は、いまも正しい。当時から群を抜く最大手だった当社が、こうした考え方を示した背景はともかく、原油コスト連動が示したように、コスト至上主義との決別であり、市場メカニズムヘと大きく舵を切った英断であり、他の元売に対する剛速球だった。
 需給見合いの国内市場構築へと踏み切らなければ、地獄を見る。
 現実に、供給過剰が常態の場面で、減産を担うスイング・プロデューサーを失った国内市場は奈落へと向かう。原油150ドルが相場が崩落する局面であったことから、原油下落、製品暴落を招いた。さらに、国内に対して、軽油などの中間留分が活況を呈していたアジアが超高採算だった時代も出現したが、原油相場が平穏を取り戻していたにもかかわらず、わずか1年前の夏には、中間3品は一気に原価割れ、内外ともに元売の商域は大出血症状に陥った。
 仕組みはそのままで、改定日を月曜から土曜に変更したのは、価格下落局面での小売対応力を強化するためで、これは系列SSにとっては「改正」として受け入れられた。ところが、その後の仕組み変更は、元売の儲かる仕組みの構築であり、系列SSの競争力強化の範ちゅうには含まれていない。いくら元売が「改正」と唱えようが、せいぜい「改定」としか表現できない代物である。
 この「改定」は、「配送費」 「精製コスト」「数量インセンティプ」と、名目がなんであろうが、同一仕様のPB玉よりも割高な部分は、すべて「ブランド料」である。「改定」が施される度に、超量販店に育ってしまったPBに対して、系列SSは競争力を削がれているのが実態だ。
 「ブランド料」が上がるたびに、競争力が削がれる、という不可思議な元売の常識が発動される。
 市場規模の1.5倍の生産能力を有しながら、市場原理に委ねて「ブランド料」を向上させるのは無理というものである。我々は「ブランド料」には、当の元売以上に、実は安定供給責任を委ねる意味合いが強い。市場規模よりも小さめの生産能力に元売が変身すれば、正真正銘の「ブランド料」が、その懐に入る。
 この10月に予定されている複数元売の意図も、ほとんど改定にしか見えない。

ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE