2010.09.16 のニュース
排出量取引き 政策手続WG中間整理 “有用性は限定的”―限界削減費が極めて高い―
産構審環境部会地球環境小委政策手法WGは13日に開催され、検討タスクフォースにおけるこれまでの議論の中間整理のうち、排出量取引、環境税についての検討結果をまとめた。排出量取引での「炭素価格は、各国の掲げるCO2削減目標の水準や、産業の国際間競争等を踏まえた炭素リーケージ等の現実からは、2O20年まで見通しでも、CO21トン当たり、50ドル程度までの一範囲内で推移するものと考えられる。このような炭素価格の国際的な実績、見通しを踏まえると、排出量取引制度等、炭素に価格付けをして排出を抑制する政策手法は、CO21トン当たり0~50ドル程度の対策に対して、それを促進する有用性があるが、50ドルを超える価格帯の対策に対しては、有用性は低いと考えられる」としている。
技術の導入が進んでいる我が国では「CO2の限界削減費用が、先進国の中でも極めて高い。排出量取引制度が現実的に機能すると考えられるCO21トン当たり0~50ドル程度までの価格帯での、我が国、特に産業部門の削減余地は少なく、排出量取引制度等の有用性は、我が国では限定されると考えられる」としている。
なお、環境税についての考え方は次の通り。
①税であることから、負担額が明確であり、企業にとっても予見可能性が高い。②制度設計によっては、部門が偏らず広く国民各層が負担することになる。③国民に広く認知されることにより、温暖化対策の必要性が認識される(アナウンスメント効果)。④排出抑制・削減効果のみに着目した場合には、かなりの高率とする必要があるが、現実的にはこうした高率の税を導入している国はない。⑤仮に高率の税を導入した場合には、消費者の負担、リーケージの発生など経済には大きなマイナスの影響となる。⑥このような高率のものではなく、薄く広く負担するものの場合には、高率のもののデメリットを避けつつ、税収を低炭素製品等の導入支援等に活用することでCO2削減が図られるとともに、革新的技術の開発支援に回すことで、長期対策も可能。⑦排出量取引制度等の他の価格付けによる施策のコストとの二重負担に要留意、などとしている。