日刊ニュース

2013.04.01 のニュース

絶対に留意すべき中小の存在

 エネルギー基本計画の再見直し作業が総合エネ調・総合部会で始まった。前政権が20年までに温室効果ガスを90年比25%削減するとしたエネルギーバランスを乱す突飛な国際公約も、原発事故と相まって空論に終わり、新政権は11月の国連温暖化防止締約国会議・COP19までにゼロベースで見直すことも決めた。
 再確認しておくと、現行の基本計画では1次エネ供給シェアが07年実績比で30年時点に石油39%から27%、石炭23%から17%、天然ガス19%から16%へと下がり、原子力10%から24%、再生可能エネ等6%から13%に上がると見通していた。安倍内閣は前政権のエネルギー・環境戦略を根本から見直し、安定供給とコスト低減を踏まえながら新たな政策を構築すると表明。安全が確認された原発の再稼働、省エネ・再エネの最大限導入とできる限りの原発依存度低減を図るとした。新たな基本計画は年内を目途に一定のとりまとめを行う考えだが、エネ構成の数値目標化はまだ困難と見られる。今後の論点としては①生産・調達②流通③消費の3段階で整理。消費段階では住宅、ビル、工場の省エネを加速する。
 3・11を経て、エネルギー情勢は大きく変化した。総合部会の資料には、石油における大震災の教訓として「早期の域外からの物流回復」「物流回復までの間の域内石油供給」そして「末端の物流回復」が鍵と指摘されている。原発事故後、石油をはじめとする化石燃料は復旧・復興の支柱となってきた。「外貨・国富の著しい流出」「環境負荷の増大」ともされるが、現実問題として、安直な代替手段で乗り越えられるような経済・社会環境ではない。
 石油の安定供給は、一連のサプライチェーンで維持している。遠洋を航行して日本に原油を運びこみ、精製、保管し、物流に乗せ、SSに荷卸しして、給油を経てクルマの原動力や暖房・給湯用エネルギーとして広く活用されている。だが、10~14年度の燃料油需要は年度平均減少率でガソリン3・1%、灯油5・1%、軽油2・6%、A重油6・5%との試算も示された。ユーザーと接する最前線を担う販売業者が減れば減るほど、安定供給の難易度は増す。「SS数はまだ多過ぎる。だから…」という姿勢、政策の方向性をまだ続けていいのか。中小SSが減れば、きめ細かな対応ができにくくなることを、我々は知っている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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