2013.04.08 のニュース
4月~6月は各社大幅減産へ-減販見込み供給増を回避ヘ-
4月~6月の不需要期入りとなり、減販を見込み石油各社は大幅減産で対応する。昭和シェル石油は、グループ4製油所の4月~6月の原油処理を632万㌔㍑とし、前年同期比で5・9%減とする。国内販売向けは7・5%減の大幅減産とする。出光興産は、同じく4月~6月で国内販売向けを570万㌔㍑の4%減とする。JX日鉱日石エネルギーは4月の単月で528万㌔㍑の8%減産を計画している。
このように大幅減産の計画を各社が発表しているが、この時期には製油所の定期修理に取り組むため実質減産となる。そのため石油製品の需給は調整されるが、販売が予想以上に落ち込むと、供給増となることも懸念されている。ここにきて販売減が目立っているが今後の販売動向によってはさらなる減産での対応や、海外市況をみてマージンが確保できれば輸出の増加を図るなど、弾力的に対応する。
早めに減産の方針を打ち出している理由は、先行きの供給増を避けて需給バランスの安定化を意図したためである。しかし、各社間でも定期修理を実施する会社としない会社があることに加え、供給が減少するこの時期にシェア確保を狙う会社もあり、原油処理の対応にバラツキが出そうである。また、定期修理を前に増産による在庫の積み増しが行なわれた場合、供給増となる。さらに、各社間での融通が実施されるが、貸し借りを調整するタイミングのズレによって需給バランスが崩れるなどの不安材料も残る。
需要見通しについては、足元の2月~3月の販売は前年同月比で落ち込んでおり、そのトレントで4月~6月も販売減となると予想される。2月の燃料油販売は7%減となりガソリンは6・7%減、増販が続いたC重油も9・3%の減少となった。昨年が閏年で日数が1日多いことの反動もあるが、それを調整しても、販売減の幅は大きい。3月もガソリンは3%減、灯油は14%減、電力用C重油は10%減などマイナスが見込まれている。ガソリン、灯油のマス商品は、販売価格が値上がりしたことでユーザーが節約志向から買い控えとなり、減販となってきた。灯油はシーズンが終了したため影響は少ないが、ガソリンの販売減は、元売、販売業者にとって深刻である。
平成24年は猛暑、新車販売が堅調であったため微増となっていたが、今年は減販となりそうである。C重油も電力用の需要増が一巡して減販となってきた。だが、供給は国内生産と輸入で対応しており、減販に対しては輸入減で対応が可能であるため、大きく影響することはない。
販売減による供給増の解消策は輸出となる。輸出は海外市況と絡み、マージンが確保できるか否かにかかってくる。このところ、軽油、ジェット燃料油の輸出に復活の兆しが見えてきたことは好材料となる。
今後の原油価格、為替の動向が注目されるが、足元はドバイで106㌦~107㌦/バーレル、為替は93円/㌦程度で推移し、比較的安定している。原油価格はアメリカの景気回復、ヨーロッパの財政危機、中国の経済成長の鈍化など不安定要因もあるが、大きく崩れることはないと予測されている。だが、原油価格も為替も変動するものであるため、足元の需給の安定化を優先すべきである。