2013.04.08 のニュース
公取委実態調査に期待
公正取引委員会は昨年4月、最近の石油流通市場の実情に即した実態調査を実施することを明らかにした。公取委の調査は04年9月に公表された「ガソリンの流通実態に関する調査」以来だ。8年ぶりの実態調査とその結果を踏まえた指摘・指導に、販売業界は「再び不透明な状況に陥っていた仕切価格や業転格差の問題が浮き彫りになる」として透明な市場環境の構築に期待した。
8年前の調査では、新価格体系導入に端を発した現在の価格決定システムや仕切価格の週決めなど、大きく様変わりした商取引の実態がほとんど反映されていない。元売販売子会社SSの急増や各地にネットワークを拡大するPB廉売業者の登場など、新たなプレーヤーを含めた流通構造の変化も組み込まれていない。だからこそ、現在の利益を度外視した市場競争に苦しむ全国の石油販売業者は、公取委によるその実態のあぶり出しと独禁法に基づく是正指導に期待しているのだ。
公取委は今回の調査を「石油元売及びガソリンスタンドの競争・取引実態に係る調査」という名称で行っている。具体的視点も①新価格体系導入後における系列スタンド間の卸売格差の実態②新価格体系導入後に新たに生じた問題点③系列玉と業転玉の卸売価格差の実態④業転玉を取り扱うスタンドに対する石油元売会社の対応⑤廉売を行っている系列・系列外スタンドの販売方針及び価格設定の仕組み、と明確にした。
それから1年。公取委は予備的なヒアリングを経て、元売や販売業者に対しアンケート調査と個別具体的なヒアリング調査を実施している。
その間も、系列価格と業転価格の格差は拡大し、大手廉売業者やそれを追う元売子会社によって市場競争がますます激化。中小小売業者の経営はそれに翻弄され疲弊し切っている。最近では週決めだった仕切価格が、期中に改定されることも増え、市場の混乱に拍車をかけている。
我々石油販売業界は、今回の実態調査によって不可解な取引や不透明な仕切価格決定の仕組みが解明されることを待ち望んでいる。結果によっては、今後の石油販売業界における競争のあり方だけでなく、中小販売業者の事業継続の判断にも影響を及ぼす可能性がある。ここまで時間をかけた本格調査である。精緻な実態把握に基づく石油流通市場の公正競争のあり方を指摘した報告書を期待する。