2010.09.17 のニュース
省燃費の最高級オイル新発売 -SS店頭での増販に期待-
API(アメリカ石油協会)の新規格「SN」、ILSAC(国際潤滑油規格認証委員会)の「GF‐5」を取得した新しい最高級のガソリンエンジンオイルが元売から発売される。この新規格の運用は10月から実施となるため、各社とも認証を得るべく申請を行なっていたもの。JX日鉱日石エネルギーが11月から、10月から出光興産、キグナスが、コスモルブリカンツも近く発売する。
現行のAPIの「SM」の運用は04年11月末から、ILSACの「GF‐4」の運用が04年7月末からであったため、同年12月から元売は新発売した。今回の新規格の改定は6年振りとなる。
今回、新規格として改善された点は、①省燃費性能、②高温酸化安定性、③触媒被毒防止性能、などである。これらの新たに追加された性能、規格、試験項目、試験法などの規制値は、すでにILSACで公表されている。具体的にはエンジン、ピストンの清浄性、省燃費性(現行比で0.5%向上)、バイオ燃料対応(E85)などとなっている。そのためアメリカではILSACと石油企業、添加剤メーカーとの間で調整が行なわれてきた。
日本でも、元売各社は新規格に適合するオイルの開発、研究に努めてきた。ベースオイルは100%合成、部分合成、鉱油系で対応するが、粘度グレードも問題となる。だが、ポイントとなるのは添加剤であり、いかにして新規格に適合する添加剤を開発するかにかかっている。
元売も研究しているが、新オイルの開発では添加剤メーカーの出番となり、その配合などは添加剤メーカーに依存することになる。逆の見方をすると、新しく開発された高い添加剤を購入してコストの高いオイルを生産・発売することになる。一方、末端でのオイル販売は価格競争が激しく値上げが難しい状況となっている。それでも新発売を機に増販に結びつけられればコスト増を回収でき利益も確保できると期待している。
新オイルの開発はコスト増となるが、まずは添加剤メーカーが利益をあげるのではないかと皮肉な見方もある。しかし、本業の元売、販売業者は増販と適正マージンによって利益を確保できると見込んでいる。
元売は、今回の「SN/GF‐5」の新規格オイルの発売を機に「省燃費、CO2の削減に寄与する」ことをキャッチフレーズにSSでの増販を狙いキャンペーンを実施する。とくにSSでのオイル販売は低調であるため、新オイルの発売を機にSSでの増販に期待がかけられている。
SSのオイル販売は全体の30%程度と少なく、SS離れが目立ち、元売も再三キャンペーンを展開しているがなかなか復活しない。SSでのオイル販売不振の要因は、販売価格が高いという印象をユーザーに与えたことも反省材料だが、カー用品専門店の進出、カーディーラーが新車販売を機に実施しているオイル販売の囲い込みなどの攻勢で、SS店頭での販売が減少している、などの点があげられている。
ユーザーの節約志向、若者の車離れ、保有台数の減少など、マイナス材料が多いが、販売業者としてもSSでガソリンは給油するが、オイルは他のところで購入するというユーザーの動きを制し、SSでオイルを増販することに再挑戦すべきである。