日刊ニュース

2010.09.29 のニュース

ガソリン・灯油は低在庫で推移 ―灯油の値決めを有利に臨む―

石油連盟の週報によるとガソリンと灯油の在庫は低水準で推移している。ガソリン、電力用C重油は猛暑で増販に、軽油・ジェット燃料は輸出が増加した、などのため、原油処理は前年並みで対応しているが、需給は安定している。
 ガソリン在庫(18日時)は187万KLで前週に比べ5万KLの減、前年比でも16万KLの減となり、190万KLを割る低水準となっている。従来は200万KL前後で推移していたが、輸出も10万KLあり、販売も猛暑が終わったため前週に比べると減少しているが、前年に比べると好調である。
 各社はガソリンの販売に見合った生産で対応しており需給はタイトで推移している。一方、末端市況は石油情報センターの週動向調査(21日)によると、ガソリンは132円60銭/Lで前週に比べ40銭値下がり、小幅であるが連続しての下落となっている。四捨五入すると133円となり、9月に入ってからは133円の横ばいとなっている。だが、ガソリン市況は5月から17週連続しての値下がりとなっている。小幅な値下がりではあるが、原油価格、業転市況の値下がりを反映しているものであり、下げ止めを図りたいところである。
 猛暑も終わり、今後は販売数量も減少するため、市況は弱含みの傾向も出ることが心配されている。それでも販売業者は市況維持に努めており、大きく値崩れすることはないようである。原油価格は74~76ドル/バーレルで、為替も85円/ドル程度で安定して推移しているため、コスト面での大きな変動はない。そのため製品市況は安定して推移しそうである。ただ、ガソリンは、これから販売数量が落ち込むため、販売業者間にあせりが出て価格競争が展開されることが心配である。
 灯油の在庫は249万KLで前週に比べると11万KLの積み増しとなったが、前年に比べると61万KLも少ない。低在庫が依然として続いているもので、9月末には300万KLを下回りそうである。昨年も在庫減が心配されたが、そのまま乗り切った経緯もある。今年は、さらに昨年よりも少ないため、供給不足を心配する向きもあるが、電気・ガスヘの燃料転換が今後も進むため、需要は落ち込む見通しとなっている。前年よりも低在庫であっても供給不足で問題が生じることはないと見ているもの。しかし、灯油需要は天候次第で大きく変わるため見通しは難しい。原油価格も先物は先高であるが、東工取の灯油市況は52円/L、ガソリンは51円と、灯油が小幅であるが高値で推移している。先高であるが期近と期先との価格差は1円高と少なく値上がりを見込んでいない。
 シーズンを前にして大手販売業者、薪炭商、商社系は在庫積み増しを狙うが、今年は遅れているようである。元売もシーズン入り前の価格交渉を有利にするため低在庫で臨んでいる。供給増であれば値決めが不利になることから、在庫を必要以上に積み上げず、先物・業転市況の値上がりを狙っている。
 灯油価格はシーズン入り前の値決めで、ほぼシーズン中の価格が決まるため、ポイントは札幌などの生協価格となる。これからの価格交渉が注目されるが、業転市況の動向が決め手になる。

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