2010.10.01 のニュース
不当廉売の申告も効果薄れる -量販店には差別対価で追求も-
HC、量販店のガソリン販売価格は、119円/L(消費税込み)の安値となっており、周辺の販売業者は公取委に対し、不当廉売差別対価で申告しているが、公取委の回答は白となっている。不当廉売と申告しても周辺のSSも安値に追随して120~2円で販売しているため、これを不当廉売とすることは難しい。HCは業転市場から購入して5円のマージンを加算して販売していると説明しており、5円という低マージンで経営が可能であると回答している。公取委も簡単に価格に介入することはできず、調査をするがHCなどの安値販売では「注意」程度である。
HCに対しては、①ガソリンを目玉商品として扱うため、適正マージンを加算することを考えていない、②不安定な業転市況から購入しており、安定供給を責務とせずに商売をしている、③供給不足になれば営業を停止する、など批判が出ているが、これらの意見は石油販売業者という内輪のものであり、ユーザーから見れば、安値が魅力であり、HCで購入することになる。
HCの弱点は、供給不足になった場合に、玉が手当てできず販売できなくなることである。また、業転市況が急騰して系列仕切価格を上面るケースが発生する場合、高値での販売となることが予想されるが、このような状況は今までにはない。8年の原油価格急騰時でも、値上がりはしたが、供給不足でSSの営業を停止したことはない。それだけ業転、先物市場が整備されてきたことになる。仮に供給が不足した場合に休業しても供給責任が問われることはないが、商道徳からは問題となる。
ガソリンなどの石油製品は安定供給が責務であるという考え方は規制時代のものであり、自由化された現在では、安定供給のとらえ方が変わってきている。
一方、量販店の安値販売となると、不当廉売でも問題となるが、供給している系列元売がハッキリしているため、系列外のHCとは違い、差別対価が問題となる。ガソリンの販売価格が119円とすると、足元の仕切価格が114円であり、これに消費税を加算すると119円となる。仕切価格と同値の販売価格となり、差別対価ではないかとの疑問が出る。量販店には、取引き数量が多いための割引は存在するが、それにしても安値で販売できるのは、元売が仕切価格で差別しているのではないかとして公取委に申告している。だが、実態の解明が難しいのと、実態の把握には時間がかることもあり、差別対価の実例は今日まで出ていない。
差別対価となると対象は供給している元売となり、元売の販売方針が問われることになる。そのため元売は慎重な対応で臨んでおり、差別対価はあり得ないという立場を堅持している。差別対価が実証されることになれば、特約契約そのものが効力を失うため、元売も厳しくチェックしており、独禁法に違反するような差別対価はないとしている。
しかし、販売業者からは、差別対価ではないかとの疑いの申告が出ているのも事実である。元売としても、取引き条件を明確にして公平にしているが、数量割引き、決済方法、ブランド料などとなると個別の条件があるようだ。これらも通常の範囲内となるが、より透明性が求められる。