日刊ニュース

2010.10.06 のニュース

消防法規制強化でSS廃業が加速 ―経営継続を望むも赤字で再投資できず―

 消防法の改正でSSの地下タンク危険物流出防止対策及び防止措置による規制強化が平成23年2月から施行(猶予期間は2年)されるが、そのまま施行されれば、多くのSSが廃業に追い込まれることになる。以前から、SSからのガソリンなどの流出防止策が問題となっており、新設は2重殻となっているが、古い一重殻のタンクについては、法律で規制が強化されることになったもの。このため再投資が必要となるが、足元のSSは赤字経営が続いている状況下で資金的な余裕がないため投資はできず、撤退することになる。そのため、全石造、各石商では経費の助成を経産省、地方自治体などに要望している。
 経産省は来年度予算要求で新規に「地下タンク漏洩防止規制対応策」として22億円を計上している。該当するSSに対して、費用の3分の2を補助することになっている。だが、SSなど販売業者に対しての助成策は、事業仕分けでも厳しく予算をカットされた経緯もあり、予断を許さない。
 規制強化の対象となるSSのタンクは、一重殻を直接埋蔵している古いタンクで、①埋設後概ね50年以上(全体の15%)のものは、FRPライニング施工(タンク内に強化樹脂貼付)、または電気防食を実施する。②概ね弱年以上(14%)は、常時監視装置(高精度油面計など)を導入することが義務付けされる。
 これらの費用を見ると、FRPライニングのケースでは、タンク1基当たり約180万円で、1SS当たりのタンク埋設は4~6基であるため720万円~1080万円の費用が必要となる。電気防食は1SSで1システムの導入費が300万円~400万円(タンク基数で費用に差がある)かかる。高精度油面計の設置は1基当たり約50万円、1SS平均を4~6基とすると200万円~300万円となる。
 このようにSS経営を継続するには再投資が必要となるが、石油販売業者は中小企業が大多数であり、約半数が赤字であることから経費を負担する力はない。規制が実施されるとSS経営をやめるケースが出てくる。
 全石連の9月の調査では、規制が実施された場合、「SSの営業をやめる」が17%(前回の4月調査は22%)となっている。「FRPを実施しても営業を継続する」が55%と回答している。やめる理由は「新たな投資に見合わない」が78%、「資金
がない」が16%と回答している。
 規制が強化されても、助成措置が認められれば継続したいが約60%を占めている。しかし、現状では約1000万円の費用をかけてSS経営を継続する」とは不可能である。足元が赤字であるため、適正マージンを確保して再投資が可能になる利益を計上することが不可欠となる。
 国からの補助金が支給されても、応分の負担は販売業者に求められるため、マージンを確保して常に黒字経営に転換することが重要となる。
 SS数はピークの6万SSから4万SSに減少、さらに減少を続けており、これ以上減少すると過疎地問題が発生する。
 ガソリン需要は今後も減少するが、今回の規制強化を機にSSが激減することになると国内のサプライチェーンが崩れ、安定供給の確保が難しくなる。

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