日刊ニュース

2010.10.07 のニュース

アンケートが示す業界の期待

埋設後40年、50年を経た地下タンクに、一定の漏洩防止対策を講じなければ営業できなくなる・・・。
 今年春、消防庁がこのような内容が消防法省令改正案をパプリックコメントに出したことで、多くのSS事業者が経営継続への不安を感じた。この案は、来年2月に施行される。
 こうした地下タンクを持っている事業者はほとんどが地場特約店や販売店である。元売の社有SSの多くは、2重殻であったり直接埋設ではないために、対象となるタンクは少ない。したがって、この規制強化は中小SSを対象にしていると言ってもいいだろう。
 全石連はこの4月、全国の約400組合員を対象に、この規制強化に関するアンケート調査を実施した。それによると「FRPなどを実施して事業を継続する」と答えた事業者が35%で、「タンクを入換えて事業を継続する」事業者が8%だった。つまり、規制強化が行われても、はっきりと経営を継続すると答えたのは全体の4割程度でしかなかった。逆に「該当するSSの営業をやめる」が22%、「わからない」は35%だった。全体の6割近くが経営を断念するか、継続するかで苦悩していた。
 ところが全石油が9月に行ったアンケートでは「FRPなどを実施して事業を継続する」が前回に比べて20%アップの55%に急増。「タンクを入換えて事業を継続する」も増えて10%に近づいた。逆に、前回最も回答が多かった「わからない」が半減して19%になった。
 春以降、全石連や油政連、それに各石油組合がこの規制強化に危機感を持ち、政治や行政にその支援を求めた。こうした運動があって8月末に資源エネルギー庁が発表した来年度予算要求の中に、この消防規制の強化に対応するための補助制度の創設が盛り込まれたのである。
 9月のアンケートはこの補助金が認められた場合を前提に聞いたもので、補助制度があれば「それを活用して事業を継続したい」という思いを持つ事業者が、これだけ多いということを浮き彫りにした。
 まだこの補助制度は政府予算として決定したものではないが、このアンケート結果は、多くの中小SSが補助制度の創設に期待していることを如実に示している。今後、この期待を政治や行政に訴えることが、業界への理解につながり、補助制度の創設につながることになる。

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