2010.10.08 のニュース
各社内省向けでは減産対応 ―輸出増を見込んで小幅な増産―
石油各社の10~12月の原油処理計画は、内需向けでは減産となるが、製品輸出の増加で全体では微増となっている。出光の10~12月の内需向け原油処理は670万KLで前年同期で1%減産。昭和シェル石油は725万KLで4%減産となるが、輸出向けが155万KLで20%増となり、全体の原油処理は880万KLとなる。JX日鉱日石エネルギーは、10月に限定して内需向けでは550万KLで3%の減産(前々年比では16%減)としており、輸出向けは未定としている。各社の発表の仕方は異なるが、内需向けでは減産となっており、輪出増を見込むと若干の増産となる。
国内の燃料油販売は、猛暑の影響もあってガソリン、電力C重油が増販となり、4~8月の累計では前年比で1.1%の微増となった。8月に限ってみると、ガソリンは556万KLで前年同月比で1.7%増、C重油は175万KLで32%増となり、その他の油種はマイナスとなったが、燃料油合計では2.4%増となっている。
一方、製品輸出はガソリン、ジェット燃料、C重油が大幅に伸びたため13%の増となった。数量でみるとガソリンは52%増となっているが16万KLと少ない。多いのはジェット燃料の124万KLで38%増、軽油は121万KLで3.4%減となっている。軽油はマイナスとなっているが、前年の増加の反動で数量でみると、ジェット燃料とほぼ同数である。C重油は69万KLで21%増となっている。圧倒的に多いのはジェット燃料と軽油であり、この2油種が輸出増のカギを握っている。
製品輸出増、国内の販売増もあって8月の原油処理は1.3%増、燃料油の生産も1.5%の増となっている。トッパーの稼働率は80.4%(前年は74.4%)で前年比で4.7ポイントの増加となっている。
そのため今後の製品輸出増に期待がかかる。だが、輪出は海外の製品市況の影響を受けるため、努力すれば成果が出るというものでなく、世界の需給次第であり、海外市況が国内に比べて割高であることが前提条件となる。海外市況が割安でコストを割り込むことになれば赤字となるため、輸出を控えることになる。長期契約もあるが、スポット契約が多いため、赤字になっても輸出することはしない。
輸出は海外の市況次第であるため不安定であるが、それでも各社は、輸出増を見込み、輸出用の桟橋、夕ンクなどの設備を増強し、いつでも輸出増に対応できるようにしている。海外の市況が下落して採算ベースに乗らず赤字となれば、輸出は停止となる。
今のところ海外市況は、国内市況に比べると高値で推移しているため、輸出が可能となっている。また、マージンが少なくても、原油処理を引き上げるため、採算を度外視して輪出するケースもあるが、これは短期的なものとなる。
国内の燃料油販売は、見通しを上回った増加となっているが、これは猛暑によるもので一過性のものとみるべきである。今後は再びマイナスに転じることも予想されるため、需給を適正化するためにも減産が続くことになる。現在も過剰設備を抱えていることに変わりなく、国内販売、輪出の動向をみながら、常に需要に見合った生産が求められる。