2010.10.12 のニュース
エネルギー特別会計の存続を
政府の行政刷新会議は、事業仕分けの一方で特別会計についてもその存廃を検討する。エネルギー特別会計も含まれる見通しだが、仮に廃止されることになれば、税を負担するエネルギー利用者を無視することになり、エネルギー関係業界にも計り知れない影響を及ぼす。当然、石油販売業界にも深刻な影響が及ぶ。
エネルギー特別会計は石油石炭税と電源開発促進税の税収を、「受益者負担」の考え方に基づいて、燃料安定供給対策やエネルギー需給構造の高度化対策や電源立地対策などに使うものである。
具体的に燃料安定供給対策では、石油備蓄や石油・天然ガスなどの開発、さらには石油・天然ガスなどの生産や流通の合理化対策などに予算が充てられている。石油販売業界に対して行われている各種の助成事業の予算は、石油製品の安定供給のために流通合理化対策などの勘定から支出されている。
そのエネルギー特別会計は、道路整備のために道路の使用者であるドライバーにその負担を求めた道路特定財源と同様に、エネルギーの安定供給対策や電源立地対策などの負担を、これらのエネルギー利用者に求めたものだ。
しかし、ガゾリン税、自動車重量税などの税収を基にしたその道路特定財源は、石油業界と自動車業界が「受益者負担の原則に反する」として、長年にわたり反対運動を展開してきたものの、結局は、納税者へのきちんとした説明もないまま昨年5月に一般財源化された。
我々は「ならば、課税の根拠がなくなったのだから暫定税率を廃止すべき」と訴えているが、これも財政状況が厳しいとの理由から税率は維持されたままだ。
今回のエネルギー特別会計の廃止というのは、言い換えればエネルギー対策財源の一般財源化ということである。エネルギーの安定供給対策や省エネルギー・新エネルギー対策のための目的税として徴収している石油石炭税の税収を一般財源化するということは、子ども手当てや農家への個別補償など、エネルギーとは関係のない予算に充てるということになるもので、まさに道路特定財源問題と同様、「受益者負担」の原則に反するものである。
石油石炭税の徴収に係わる石油業界として、エネルギー特別会計の存続を強く求めていく必要がある。