日刊ニュース

2010.10.14 のニュース

変化際立つ灯油~需給近況

気象庁の10~12月までの3ヵ月予報では、気温は全国的に10、11月は平年比で高め、12月に入ってから、やや低めと分析している。北日本でのシーズンインは、やや遅くなるが、シーズン本番は多少、期待が持てそうだ。
 灯油価格のベースとなる原油価格は、やや心配な情勢にある。15年ぶりという円高ドル安の影響があって、多少緩和されてはいるが、原油高のトレンドの渦中にあるようで、円建て原油コストの近況は9月平均比でL3円、18L換算で50円近い上昇を示している。
 灯油の卸価格指標も上昇のトレンドが強まっている。43円の原油FOB価格があり、先行指標の東京・灯油先物11月限は55円台まで上昇、京浜海上も先週末に55円超えまで急伸した。一方の京浜陸上は原油、先物、海上の後を追う展開で、先週半ばまでは逆転相場の「海上高・陸上安」の53円台に低迷、週末にようやく海上相場と並んだ。
 さらに緊張感を持って臨むべきシグナルを発しているのが需給面だ。推計値ではあるが、近年で初めて300万KLに届かなかった9月末の灯油在庫。さらに、この低在庫でありながら、10月の第1週末時点で、在庫が取り崩されるという珍現象が発生した。
 今期の9月末在庫は、年3000万KLの内需があった前時代とはいえ、500万KLが必要とされた往時のほぼ半分のレベルだ。平年比では40%も少なく、過去10年間で最少だった前年との比較でも21%、約65万KL少ない。
 最も注視したい衝動に駆られるのは、10月上旬で在庫が取り崩されたという事実だ。平年なら、週10万KLは在庫が積み上がるこの時期に、わずか5万KLとはいえ取り崩されたことは、過去に例がない異常事態だ。差し引き15万KLが、何処へと流れたように映る。
 生産量は週26万KLペースで、平年よりも絞り込まれているが、1週間で15万KLを吸引した何処の正体は、恐らく市場メカニズムだろう。
 上昇エネルギーが持続しそうな原油。その上昇を追い切れていない国内の灯油卸相場が残されている。先物市場が発するシグナルは、年明け2月限まで先高。在庫はきわめて低い水準。灯油をストックできるタンクを有している事業者にとって、タンクを満たそうとする欲求が沸いても不思議ではない。

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