2010.10.14 のニュース
ガソリン末端転嫁に取組むもカードキャンペーンと重なる ―割引き表示で対応に苦慮―
原油価格(WTI)は80ドル/バーレル台に乗せ、82ドル~83ドルで推移しており、ガソリンはユーザー転嫁に取り組むことになる。しかし、元売が新規のカード会員を確保するためキャンペーンを展開しており、大幅な割引き販売を行なっている。そのためユーザー転嫁に水を差す動きが出ており、心配されている。新規会員を確保するために数量制限が設けられているが、最大7円/L割引きとなっている。プリカカードは既に3円引きが定着しているが、カード会員も2円割引きとなっている。その結果、SS店頭の価格表示は、現金、カード会員、プリカ割り引き、土日割引きなど多重価格の看板が掲示され、ユーザーから反発が出ている。とくに新規のカード会員を確保して、固定化を狙うために力を入れる動きがある。カード会員の大幅な割引き販売は数量が限定されているため、実質の割引き額は多くはないが、割引き幅が7~5円/Lと大幅であるため、ユーザーに与えるインパクトは大きく、周辺SSからも反発が出ている。
原油価格の値上がりとなり、販売業者はガソリンのユーザー転嫁に取り組むことになり、ボトム130円/L台乗せを狙う。ガソリンの末端市況は5月から連続して値下がりしている。石油情報センターの市況調査では、5月は140円(平均)であったが、最近では132円となっている。東京は134円、神奈川、千葉130円、埼玉129円となっているが、街道沿いSSの看板価格は125~7円が中心値、HC、量販店は119円から120円の前半で推移している。
このようにガソリン市況は連続して値下がりしており、9月には市況対策に取り組み、ボトム129円を狙ったが、空振りに終った。さらに小幅な値下がりが続いたが、ここにきて原油価格が値上がりしてきた。先物、業転市況も値上がりに転じており、ユーザー転嫁に取り組むことになった。
しかし、元売各社が新規カード会員の確保を狙ってキャンペーンを展開割引き販売を実施しており、ガソリンのユーザー転嫁を難しくしている。新規会員に対してガソリンを7~5円安くするものであり、末端市況を値上げする時期と合致するためタイミングは悪い。
このカードキャンペーンは、恒例で秋に実施しているため中止することはできず、SSでは、ガソリン、軽油を値上するが、同時にカード会員には値下げするという矛盾した販売策が実施となる。そのためユーザー転嫁が達成できるか懸念するむきもあるが、コストが増加しているため予定通り取り組む。