日刊ニュース

2010.10.15 のニュース

ガソリン、灯油は低在庫で推移 ―過剰設備を抱えて減産対応―

石油製品は、低在庫で推移している。石油連盟の週報(2日)によるとガソリンの在庫は185万KLで前年に比べると23万KLの減、前週に比べ5万KLの減となっており、190万KLを割る低位である。灯油の在庫も259万KLで前年に比べると68万KLの大幅減で、9月末の300万KLを大幅に下回る水準である。過去には500万KL確保(平成18年9月末は5O5万KL)が目標であったのに比べると雪泥の差である。それだけ灯油販売が減少していることになる。
 このような在庫の減少は、石油各社が需要に見合った生産で対応しているためである。燃料油販売は4~8月でみると1.1%の微増となっている。猛暑の影響で、7~8月のガソリン、C重油の販売が増加していることが要因である。また、製品輸出もジェット燃料、軽油が増加していることが、石油製品の需給がタイトで推移する好材料となっている。国内景気も持ち直したため、燃料油の販売の落ち込みも一巡したことになり微増となった。
 しかし、ここにきて為替が81~82円/ドルと円高が進み、輸出産業の不振が必至とみられ、円高不況の到来が心配されている。政府も円高対策、デフレから脱出の経済対策を打ち出し、補正予算を今国会に提出しており、その成り行きが注目される。
 石油製品の販売は景気に大きく影響されるため、政府の経済対策が期待される。石油の需要に回復の兆しが見えてきたところであり、ここで再度、需要減になることは避けたいところである。
 石油業界としては、過剰設備問題を抱えながらも減産で対応、需給の適正化を図ってきた。だが、再度、需要が落ち込むと供給増による市況下落が心配される。在庫は低位で推移しているが、原油価格は5月以降、下落したため末端市況も下落している。しかし、10月に入り、原油価格は値上がりに転じており、先物、業転市況も値上がり、仕切価格も1~2円/Lの値上がりとなってきたため販売業者もユーザー転嫁に取り込むことになる。
 6~7月にかけて仕切価格は見直しとなり、ブランド料が加算されたため、業転市況との間に価格差が拡大したこともあり、販売業者から反発が出てきた。そのためかユーザー転嫁の足並みは遅れそうである。
 新々体系に移行しての初めての仕切価格の値上げであるため販売業者の動向が注目されるところである。低在庫で需給も締まり、業転市況も価上がり、仕切価格が値上がりしているため、販売業者のマージンは縮小されており、経営は難しくなってきた。需給が締まっているため、業転市況は値上がりしており、末端市況の下落には歯止めがかかったが、今後のユーザー転嫁が焦点となってきた。
 灯油は、減産対応で夏場から低在庫で推移している。前年に比べて大幅な在庫減であるため、シーズンに入っての供給不足を心配するむきもある。灯油在庫については、過去においては、消費者団体から、積み上げを要請していたが、自由化への移行、灯油需要の減少から問題視されていない。元売も値取りを優先するため低在庫で臨んでおり、灯油の先物は54円でガソリンの53円に比べ灯油高となっている。

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