2010.10.19 のニュース
世間とわが身を知るマスコミ懇
先週末の四国支部に続いて、21日には九州支部がマスコミ懇談会を開く。「石油の日」月間企画として、両支部恒例の催しとしているものだ。新聞、テレビなどのマスメディアと石油業界の現状などについて意見交換することによって、組合活動へのヒント、世間の関心の方向などを知る場として活用している。
マスコミは「社会の木鐸」とされ、彼らが興味を示す先が消費者の関心事とも重なる。業界側が熱心に詳しく説明しても、ほとんど反応がないテーマがある。業界の常識と世間の興味の乖離を示すもので、ここから我々は一種の“業界の身勝手”を知ることになる。逆に参考として用意したレベルのデータに対し、その背景や過去に遡った数値を求められることがある。このような場合、想像以上に社会的な関心が高いことを我々は承知することになる。こうしたギャップの発見こそが懇談会の有効性であろう。
石油業界が近年、マスコミと密度高く接触したのは、例の暫定税率の廃止と復活があった一昨年の3~5月のことだった。全国の石油組合にも取材が殺到、連日の報道となったが、マスコミの論調は政治の混乱に巻き込まれ、中小企業である石油販売業界が大きな経済的ダメージを受けているというのが基本となった。
具体的な数字を用いて廃止によって被る在庫の原価割れ販売など、業界への致命的なものになりかねない影響を懇切に説明したことが、そのような報道姿勢をとらせたのは間違いない。被害者であるが、その立場に甘んじず、暫定税率の廃止と復活に際し、消費者への公平な対応を可能とする。“手持ち品減税・課税”を採用すべきだと提言したことが、業界の真摯な態度として理解された。
最近のマスコミが特に関心を持っているのは「SS過疎地」問題だ。SS数の急減は自由化時代の優勝劣敗の経済原則として捉えられても、それによってもたらされる弊害が形となって現れつつある。過疎地などに住む人々がSSの減少、そして、消滅した場合に直面せざるを得ないリスクが、これまで話題になることはなかったが、想像力を少し働かせれば危機が容易に見て取れる。マスコミにとって新しい地域問題の切り口を提供することになったようだ。
マスコミ懇談会は我々のシンパを作る場であり、わが業界の姿を映す鏡ともなる。四国、九州以外の支部でも企画してはどうだろうか。