2010.10.19 のニュース
灯油値上げに取組む シーズン入り前で相場づくり ―低在庫で価格交渉を有利に展開―
原油価格の上昇を受け、元売各社は仕切価格の値上げを打ち出しているが、灯油は本格的なシーズン入りを前にして、石油業界は相場づくりに取り組む。灯油は、先物、業報では54~5円/Lで推移しており値上がりをみせている。ガソリンに比べると灯油の方が高値となっており、夏場のガソリン高の灯油安が逆転している。今後は、灯油がガソリンに代わって、製品相場をリードすることになる。今のところ、在庫は261万KLで、300万KLを下回って推移しており、低水準であるため、市況が崩れる心配はない。とくに、今年は前年に比べると70万KLも低い水準であるため、供給不足を心配するむきもあるが、各社とも値取りを優先する構えにある。
灯油の販売は、需要期が月間330万KL程度であるが、不需要期に入ると、販売数量は7~80万KLに減少し、市況は大幅に下落する。しかし、今年は下落することなく、夏場も市況は維持されていた。
夏場は、暖房用がなくなり、業務用のみとなるため、荷動きは少なくなり、市況は急落していたが、最近は大きく値崩れすることなく、ある程度の水準を維持している。
安値で売りに出ても、増販が見込めないことがハツキリしてきたため、不需要期での安値攻勢は減少してきている。
今年の夏場は猛暑で、ガソリン、電力用C重油が増販となったこともあり、灯油など中間留分の市況は堅調に維持された。ただし、灯油など、中間留分の減販が続いているため、今冬の灯油販売による増益に期待をかけている。
それでも、灯油商戦は、天候次第であるため、見通しは難しい。シーズン入り寸前の価格が、シーズンの相場を決めるため、早目に寒波が到来することになれば、需給は逼迫する。その場合は、増産、輸入増で対応するため、供給が不足することはない。
石油業界では、過去には供給が不足したことで支障が生じたことはない。逆に、暖冬になると、供給増から、市況が下落することも予想されるため、低在庫でシーズンの前半を乗り切る構えである。