日刊ニュース

2010.10.19 のニュース

灯油在庫低位でも供給は確保 ―SSの減少で末端への供給には支障も―

灯油在庫(9日時)は、261万KLと300万KLを割る低水準で推移している。前年に比べると約70万KLの減である。規制時代は9月末で500万KLをオーバーしていたが、それに比べると大幅な減少である。
 灯油の在庫について天坊石油連盟会長は「規制時代は、9月末までに行政指導で在庫を積み増してきたが、現在は各社が対応している。11~12月になれば積み増しとなる。」と述べている。低在庫であるが安定供給には心配がないとされているが、一方、流通段階ではSS、薪炭商などが経営難で減少しているため、末端の消費者への供給となると、支障が生じ過疎化問題が深刻となっている。
 規制時代の灯油の安定供給は、元売の在庫が確保されていれば、流通業界もプレイヤーが多く整備されていたため、末端の消費者までの供給は確保されていた。そのため供給計画で9月末の在庫数量を義務付けることで供給は確保された。暖房用燃料の主力が灯油であり、消費者からは安定供給、価格に対しての関心が高く、行政指導が行なわれていたもの。流通業界も販売数量が確保され、利益が見込まれたため新規の参入業者者も多く活況を呈していた。
 しかし、自由化に移行したのと、電気、ガスヘの転換が進み、灯油需要は大幅減少、現在も減少が続いている。その結果、灯油に対しての関心も薄れ、消費者団体と石油業界との意見交換の場であった中央灯油懇談会の開催も中止となった。寒冷地の北海道、東北での地方懇は開催されるが、生協などでは灯油の扱いが減少している。以前は、生協などの灯油の取り扱いが多く、手数料収入が財源であったが、その扱いも減少している。それでも寒冷地での生協は、他の地域に比べれば扱い数量も多く、価格交渉でリードしており、相場づくりに寄与している。
 流通業界でもHC、量販店の進出により灯油が安値で販売されることになり、流れが大きく変わってきた。
 SSでの灯油販売は都心部では無くなり、郊外部のみとなっている。寒冷地では、依然として灯油の消費が多いが、原油価格の急騰を機に電化が進み灯油販売は減少している。
 一方、販売業界も経営悪化でSSは減少しており、農村部では過疎化問題が発生している。SSが減少してガソリンの給油が難しくなるとして過疎化が問題となっているが、灯油の供給問題は一段と厳しく深刻である。ガソリンの場合は車であるため、SSが減少しても、不便であるが我慢できる。だが、灯油となると、配達での販売となるため、SS、薪炭商が無くなることは灯油の供給が途絶えることになり、生活ができなくなる人が出てくる。高齢化で老人が増加しており、灯油を買いにいくことが困難となるが、SSが無くなることで灯油の安定供給が社会問題となってきた。
 SSというサプライチェーンは販売の最前線であるため、その維持が重要だとされているが、依然としてSSは減少しているため、過疎地、離島など、問題を検討する時期にきている。全石連も過疎地対策を検討しているが、需要減と価格競争の激化でSSの減少に歯止めをかけることは無理であり、その解決策には、国、地方自治体の助成を要望している。

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