2010.10.20 のニュース
特別会計の事業仕分け審蟻へ―石油対策関連も削減の対象に―
政府の事業仕分けは特別会計を審議することになるが、石油石炭税(エネルギー特別会計)の扱いが問題となる。石油石炭税は歳出を石油対策に限定した目的税であるが、予算を大幅に削減するか、これを一般会計に組み替えることで、自由に使えるようにする案が検討されている。
エネルギー特別会計の予算は約7000億円で、うち、エネルギー需給、電源開発の2勘定からなり、その中で石油・天然ガス関連予算が2163億円(23年度要求)となっている。財源は石油税で、一度一般会計に組入れられてから、石油関係の予算に限定して計上されている。使途は石油精製、流通、開発、備蓄、環境対策などであり、残った税収分は一般会計に組み込まれる。
石油税は2040円/KLで原油、石油製品の輸入段階で課税されている。原油、石油製品の輸入量が2億KL強あり、税収は約4800億円が見込まれている。うちエネ庁資源・燃料部の23年度の予算要求でみると石油・天然ガス関連では2167億円で前年度比31億円の増、石炭関連は118億円で15億円増、鉱物資源関連が216億円で43億円の減、海洋資源関連が320億円で33億円の増となっている。
うち、石油・天然ガス関連予算の内訳けをみると、石油開発が431億円、資源外交が108億円、石油精製機能の強化が146億円、石油流通網の強化が112億円、国家備蓄の推進が1325億円などとなっている。このようにみると、国家備蓄の予算が大半を占めている。石油税を徴収する元売、精製業に対しての予算の還元は少なく、殆どが備蓄、開発、石油流通(全石連)の予算として計上されている。
今回の特別会計の全面見直しに際しては、無駄な予算を削減することを狙ってのもので、①各予算項目を厳しくチェックすることで削減額を捻出する、②国家備蓄の数量を減らすことで予算を縮小する、③全額を一般会計に組み入れることで無駄を省く、などの点が検討される。今までは、エネルギーの安定供給は国家の安全保障に通じるとして予算を削減されることはないとの楽観的な見方もあった。しかし、無風であった特別会計にもメスを入れることになったことは、予算削減の成果を見込んでいるため予断を許さない。
さらに、この石油税の増税を経産省は来年度の予算要求で打ち出している。一方、環境省は、温暖化対策税(環境税)として、ガソリン税、軽油取引き税を切り替えて増税する案を提示している。これは道路財源と絡むため調整は難航する。
経度省は、このような環境省の動きを先取りしたかたちで石油税の増税を打ち出したとの見方もあるが、これから両省の攻防が展開される。
経度省の石油税の増税は、現行が約2円/Lであるため1円程度の増税が見込まれているが、石油を所管している経産省が打ち出しているため 増税が決まりそうである。
また、政府は8日の閣議で地球温暖化対策基本法案を閣議決定し、成立を狙っている。この法案は、温暖・化対策税、排出量取引、電力の買取制の導入をセットで実施するとしているのと、温暖化対策税は、昨年末の政府税制調査会で来年度に導入の方向で審議すると決めているため、厳しい状況にある。