2010.10.22 のニュース
セルフSSの増加数は鈍化 ―撤退するケースも増加で淘汰―
石油情報センター調査によると6月末のセルフSSは8325ヵ所で3月末に比べると29ヵ所の増加となった。4~6月の3ヵ月でみると参入が65ヵ所、撤退が36ヵ所で相殺すると29ヵ所の増となる。3ヵ月単位でみると29ヵ所の増加は、セルフSSが本格的に増加した平成13年度以降では一番少ない。4~6月のセルフの参入は例年少ないが、それにしても前年同期は194ヵ所であり、これに比べると129ヵ所の減となった。
このように見るとセルフSSの増加も一巡したことになり、増加にブレーキがかかったことになる。撤退数も増加しており、撤退の累計も573ヵ所となっている。
セルフの解禁は平成10年4月からで、スタートは緩やかな増加となったが、フル
サービスSSに比べてガソリンの販売価格が安価であることから若者の利用が増加、給油数量が白由で気兼ねなく給油できることがユーザーに受け入れられて増加した。当初は大型のフルサービスSSの改造が主であったが、徐々に大型セルフSSの新設が増加、セルフ時代に突入した。
大型セルフSSとなると投資額が約1億円となり、一般の販売業者では資金もなく、元売が建設して、元売販売子会社が運営するケースが増加してきた。量販店、HCなどの進出も増え、セルフ時代を迎えて販売業界の地図は大きく塗り変わった。元売子会社のシェア拡大に対して、販売業者からは大企業の小売販売分野への進出であり不当であるとして、新しく分離法の制定を地方自治体に要請したが、実現は難しく元売に押し切られて今日におよんでいる。
SSの経営実態をみると販売業者(特約店)の運営が激減、元売販売子会社のシェアが大半を占めることになった。そのためSSの減少と重なって石商活動が難しくなってきた。石商も組合員の減少、組合致の減少となり、組織の再編成などで対応しているが、組織活動の低下は否めない状況となってきた。
SS数もピーク時の6万ヵ所から4万ヵ所に激減した。SSが減少する状況下でセルフが8000ヵ所まで増加を続けてきたが、ここにきて増加も頭打ちとなってきた。それでもセルフは増加を続けるものとみられ、1万ヵ所をオーバーすることは必至である。セルフが増加、その影響でフルサービスSSが、ますます減少するというパターンが続いたが、今後はセルフ同士の競争が激化、セルフも淘汰されて撤退するケースも増加することになる。
セルフの台頭に対してフルサービスSSでは、社会貢献、キメ細かなサービスでユーザー確保に力を入れているが、価格競争力で劣るため苦戦が強いられている。
また、セルフSSが競争に勝ち残っても、灯油などの配達は行なわないため地域の供給には問題が生じる。地域社会での安定供給には寄与することができない。販売価格で競争力が弱いフルサービスSSの減少が続き、最近では過疎化問題が提起される状況となってきた。
SSが無くなりガソリンの供給に問題が生じても、車の場合は対応が可能である。灯油は配達する販売業者が無くなると、高齢者は灯油を購入できず、生活ができなくなる。これは社会問題である。