日刊ニュース

2010.10.25 のニュース

新ブランド料への異議申し立て

コスト連動・月次の仕切価格が一昨年の下期から改められ、「新仕切り体系」が登場したが、修正に次ぐ修正が加えられ、先決めと後決めが混在するようになった。硬直的なコスト方式から需給を反映した価格決定方式への転換によって、仕切価格の透明性を確保し、系列内格差も縮小しようという試みだったはずだが、2年経過しても導入当時に描いていた先物連動という最終形に到達できないまま、元売都合のパッチワークが続いている。さらに、一部元売は当初は1~2円だった“ブランド料”を大幅に引き上げ、確実に利益を確保する姿勢を鮮明にした。系列販売業者が否応なく抱え込まされたのが業転との大きな価格差の復活による競争力の著しい低下である。
 元売が国内流通部門での収益確保を目指すことについては、だれも批判できない。ブランドの価値を高め、ドライバーからの支持を獲得していくのは系列販売業者にも歓迎すべきことである。しかし、今回ブランド料を引き上げた元売がその価値を高めるためになにをしたのかは残念ながら承知しない。引き上げに見合うだけの手当てがなされずに、系列SSの競争力を削ぎ、業転を手当てするプライベートSSの力を蘇らせただけである。全石連関東支部の9月理事長会議で業転と系列仕入れの格差が市場混乱を拡大させていると断定されたような実態が生まれている。
東京石商の仕入価格調査ではガソリン系列卸と業転とは4円強の格差が存在していることが明らかになった。4~5円の仕入れ段階でのハンデは低収益時代にあっては企業努力の域をはるかに超えており、元売は「新・新仕切り体系」で系列SSを放棄したと言われてもしかたない。
 元売による自身のための仕切り決定方式の修正に対して、販売業界からの異議申し立てが出てくるのも当然だろう。全石連経営部会はWGを設け、石油業界にとって最適な仕切り決定方式のあり方についての議論を始めているし、東京石協は組合による石油製品の販売を検討することを確認している。石油製品の共同購買事業構想は業転価格との格差が一定の水準に達すると必ず浮上する。すでに一部組合では実績もあるが、全国の組合の中でも最右翼に位置する東京が、組合員へのサポート策としてゴーサインを出すようなことがあれば、その波紋は大きくなるのは想像に難くない。

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