日刊ニュース

2014.05.19 のニュース

SS浮上を妨げる改悪の予兆

 年度が改まり、前年度はどん底にあった元売の石油収益が急回復の道をたどり始めた。同時に、過去に例がないほどに社長や販売トップの交代も続出している。多くの元売は、正味赤字に陥った石油収益浮上を期して、仕切り方式を改めるなど、心機一転、大きく収益をジャンプアップさせようとしているように見える。我々SSサイドも、その収益リセットの風に乗って、大きく浮上したいところだったが、4月のそれは、数量も粗利も低迷する二重苦で、過去最悪に近いどん底に落ち込んだ外観がある。
 外食を中心に、薄利多売のビジネスモデルが曲がり角に差し掛かっている。全国に多店舗を展開する有名チェーンであっても、人手不足で開店状態が維持できない店舗が続出しているという。単価を下げて数量を追い続け、ライバル店が互いに廉売合戦のような商法を突き進み、ほぼ全店が深夜営業に踏み切り、最小限のアルバイトスタッフに依存するなど、消耗合戦に終始していたかのような外観の多くは、激戦地市場の多くのSSの姿と重なる。
 外食には、高齢者の家庭などもターゲットとする中食など、市場拡大の素地は残されているというが、我々SSの基幹中の基幹であるガソリンは、現在のような高値が続く限り市場拡大は望むべくもない。それでも数量拡大によって糊口をしのごうとすれば、その反作用によって周辺SSを巻き込んで粗利減が起きてしまうという必然が襲う業態だ。
 4月から仕切り方式を変更した先発元売の効力は、いまのところSSには、なんの追い風にもなっていない。東京石商のガソリン卸価格調査では、むしろ従前よりも系列と業転の格差は広がる方向にある。現在までの新たな仕切り方式は、元売サイドにのみ利する実績しか見出せず、SSサイドからはむしろ改悪でしかない。原油見合いの度合いを高めたという側面は、需給が緩んだ場合、原油見合いでのガソリン安が生じるから、系列SSを奈落へ突き落す危険度が一段と高まるということと同じ意味合いを持つ。
 売れない市場へ、縮小し続ける市場へ向けて、過剰な生産を続けて需給が大きく緩んだ際のマイナスは、一方的に元売側が負うべきものである。業転という差別を通じて、子会社SSという我々の領域の強者を通じて、そのマイナスが全SSを覆う構造こそが問題なのだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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