2014.05.20 のニュース
20世紀仕様卸への警鐘(上)
(略)卸価格の価格差や決定方式の不透明性、競争上不利な取引条件が課されているおそれのあるSS事業者の存在等が指摘されているところである。こうした中、一般的に取引上優越した立場にある元売が、正常な商慣行に照らして不当な価格差を付し、競争上不利な取引条件をSS事業者に押し付けるなど独占禁止法に違反する疑いのある事案に接した場合には、厳正な対処が必要である。
これは、日本のエネルギー政策の中期的指針である新たなエネルギー基本計画の中で、「公正かつ透明な石油製品取引構造の確立」と冠されて表現された部分の抜粋だ。どこをどう読み砕いても、これは系列、業転を含んだ元売の卸価格決定に関わる部分への、「公正かつ透明」を求めるエネルギー政策からの問題意識の開示だ。つまり現状よりも「公正かつ透明」を高めることが要求されているのだ。
時間軸で見て、4月から始まった仕切り方式の変更は、元売によるその第一次回答と判断してよいだろう。ところがその回答は「原油連動への回帰」を含めて、透明度はより劣化するように見える。
原油と製品市況の乖離は、この1年を振り返っても格段と大きくなる傾向が見える。なぜか。その一級戦犯として国内需給の緩みが真っ先に挙げられるが、確かにそれも一理ではあろう。ただし、現実の戦犯はこればかりではない。しかも今後、原油と製品市況の乖離を大きくする方向に作用する戦犯は、これからも増えていくであろうことが、すでに可視化できている。
我々は当事者であるから、原油から産出される石油製品は、どれだけ高度な分解・改質二次装置を駆使しても、連産品・製品得率の宿命の傘下にあることを知っている。多くの製油所に隣接する石油化学工場の存在も理解できるだろう。その化学工場の多くはエチレンセンターと総称されている。そこの原料はナフサであり、粗製ガソリンや直流ガソリンという別称がある。国内のエチレンセンターは、集約残存を図る動きもあるが、多くが停止の方向に踏み出している。
国内生産2千万㌔㍑の「ナフサ」の将来は、ガソリンのさらなる過剰と同じ方向性に見えてくるだろう。そうした際、仮に系列卸における原油連動の度合いが高まれば、製品市況連動の彼らに、より大きく水をあけられてしまう。