2014.05.21 のニュース
環境整備し新体系導入へ-需給タイトで業転も値上がり-
元売サイドは6月から新体系を打ち出す方向となってきた。平成25年度決算は、コスト(原油価格)が転嫁できずに大幅な赤字となったことで危機感を強め、赤字解消を狙って仕切価格の体系を変更するものである。現行の業転リンクを基調とした仕切価格ではコストが回収できず、原油代を回収するために原油価格リンクの体系に変更するものである。
新体系は、コストの大半を占める原油CIF価格と、海外の製品市況を基調に運賃などの経費を加算した仕切価格を設定する予定で、現行の業転リンク方式から、以前実施していた月決めの原油リンク方式を週決め制に変更した形で実施することになる。新体系設定後は、コスト(原油CIF価格など)の変動が反映されることとなる。
現行方式の業転にブランド料(販売管理費)を加算した体系では、供給増により業転市況が下落したことでコスト割れの状況が続き、赤字となったため、新体系に移行後は、コストを回収するため仕切価格は値上げされ、発射台が高くなる。新体系の仕切価格はコストが回収できる水準となり、その後は原油CIF価格の変動をベースに改定されることになる。
新体系が実効性をもつためには業転の値上がりが前提となるが、業転は設備処理が実施となったのと、製油所の定期修理で需給がタイトなり値上がりが見込まれる。新体系導入への環境は整備されてきた。
業転安による仕切価格との間の大幅な価格差(7~8円)問題では、販売業者からは価格差の縮小を求める意見が出ている。「価格差を是正することが難しいならば業転を自由に買えるようにすべきである」との要求となり、「これが不可能であるならば、法律で実現すべできである」として議員立法の動きとなってきた。全石連では公平で透明な商取引を求めているが、石油の取引はすでに自由化の時代となっており、議員立法で価格を規制する方策はこれまでの政策に逆行するため難航が見込まれ、成立には時間がかかる。そのため資源エネ庁、公取委が仲に入り、元売と全石連での協議が開始されている。第一回目では流通証明書の添付の進捗状況が報告され、意見交換が行なわれた。
この協議と平行して、元売は赤字解消が急務となり新体系を打ち出すことになったものである。新体系が定着する前提としては業転の値上がりが必須となるが、現在、状況としては①設備処理が実施され需給がタイトになる、②製油所の定期修理が実施となり供給不足から業転が値上がりしてきたなど、新体系打ち出しの環境が徐々に整備されてきた。
新しくコスト連動方式を導入しても業転が安値となり、価格差が生じれば仕切価格の値取りが難しくなるため、業転との価格差問題が解消することが、新体系が浸透するか否かのカギとなる。業転玉を販売しているのは元売自身であため、元売の販売姿勢が問われることになる。
これまでは新体系を打ち出しても、一定期間を経過するとマイナス面が指摘され変更が求められたが、今回も同様に、試行錯誤をしつつ見直しをしていくこととなる。いずれにしても、結果として元売、販売業者が適正マージンを確保して黒字となることが重要である。