日刊ニュース

2014.05.26 のニュース

20世紀仕様卸への警鐘(下)

 その姿は、まるで明治維新の際の官軍の東進、北進の真逆の道を行軍するかのようだ。
 ピーク6万ヵ所強から4割減となった現在まで、連続20年間のSS漸減の履歴が残る中で、北海道内の地域事業者であった彼らは、その間に津軽海峡を越え、白河を、箱根を越え、瀬戸内海も関門海峡も渡って、破竹の勢いでSSネットワークを拡大し続けている。この2社は、すでに道内のSS数よりも、域外のSS数のほうが断然多くなっている。事業に見切りをつけて買収されたケース、競売で取得したケース、閉鎖SSをそのまま復活させるケースで、13道県、17道県に、それぞれSSを広域展開する事業者となった。その勢いが衰える気配は見えない。
 系列とPB、PBのみの展開と、チャンネル構成や立地、さらには外観から伺える店舗コンセプトは異なっているようだが、進出先での廉売商法はほぼ同一だ。SS数が減少に転じたことに遅れること12年、2006年からガソリン内需が本格的な減少局面に差し掛かった。現在17道県に展開するようになった事業者が急成長し始めた時期と、完全に重なる。その成長エネルギーの多くは、サプライチェーン構築に相当な工夫が必要な製品輸入からではなく、日本製が供給され続けたものだ。
 ガソリンに絞った場合、平時のその需給はブレーキの利きが悪く、ほぼ一貫して過剰生産であった。08年10月の週決め仕切り体系の業界標準化まで、それまで業界標準だった原油コスト連動型の月決め系列仕切りは、小売市場において完全に競争力=神通力を失い、ほぼ建値と化して、中小事業者の有する系列SSが劣勢に立たされ続けた。元売トップは量から質への転換を声高に発信していた時代でも、その旗下の販売・営業部隊は、他社に売り負けない、前年比プラスを社是としていたことは厳然たる事実である。その矛盾に満ちた販売政策のお先棒を担ぐ流通業者を介し、結果として彼らの急成長を助長してしまった構図であろう。
 原油連動、さらには月次変動など改定頻度の長期化は、湾岸戦争以降に始まって08年10月まで続いた20世紀末の仕様に近い。その後、米穀系SSが地域に根を張り、各地でPBが広域大手への道を歩んだ時代にほかならない。製品需給という市場原理を完全に反映させた08年10月仕様を原点に、卸は改善の道を探るべきではないか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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