日刊ニュース

2014.05.26 のニュース

新体系も2~3年で改定か 業転、末端値上がりでマージン増加

 仕切価格の改定方式は、6月からコスト(原油価格)連動の新体系に移行することになるが、ガソリンは末端、業転市況が値上がりをみせており、マージンが確保される方向となってきた。コスト連動となり、業転を指標に使わないとしても、業転との価格差が生じれば今後も仕切価格の値下げ要求が出る。
 コスト面でみると、原油CIF価格は4月が7万0480円/リットルとなっており、高値であった1月の7万4600円に比べると約4000円(4円/リットル)値下がりしているため、マージンが確保できる状況にある。
 市況の目安となる東商取の先物は、原油が68円/リットルに対してガソリンは84円、灯油が87円となっている。この時期、ガソリンは値上がり、灯油は不需要期入りとなるため下落するが、その価格差は6円とガソリン高となっている。原油価格とガソリンとのスプレッドは16円(1月頃は10円)と拡大している。原油価格と灯油とは10円となっているが、とくにガソリンのマージンが増加している。
 新体系への移行は元売各社の業績悪化が要因となっているもので、3月期決算の企業は大幅な赤字となっており、また、12月期決算の東燃ゼネラル石油の1~3月期は石油事業の営業損失が173億円、昭和シェル石油は在庫影響を除くと営業損失が36億円となっており、とくに1~3月で業績は大幅に悪化した。
 市況低迷による石油製品マージンの悪化が指摘されるが、その改善策として現行の仕切価格改定方式を見直すことになったもので、原油価格(コスト)を基調にした新体系に変更するものである。これまでの価格体系では、価格は需給で決まるとみて業転リンクとしたが、コスト(原油価格)を無視した体系が難しいことを実証したことになる。
 しかし、新体系を打ち出しても2~3年を経過すると、マイナス面が表面化してくる。そのため、今回も暫定的に実施した上での見直しも予想されている。
 過去の例をみても、月決めの原油価格コスト変動方式を実施していたが、2008年10月からは週決め制の業転連動方式に移行した。基調は業転市況に連動するため、系列内での大手と小規模業者との仕切価格差が縮小されて、公正で透明な取引きができると販売業界では歓迎された。しかし、原油価格が急落した時期と重なったため市況が混乱した状況となり、元売は赤字が続いた。
 そのため2010年からは、ブランド料として4~5円/リットルを加算する方式を導入した。その結果、元売は黒字に転換したが、業転市況と系列仕切価格との間に大幅価格差が生じることになり、販売業者から価格差を縮小すべきとの反発が出てきた。ここにきて需給緩和によって業転市況が急落したため、末端市況の下落につながり、元売、販売業者の双方が赤字となった。販売業界からは「業転との価格差の縮小か、業転を購入する自由を認めるべきである」との要求が出たため、一部でブランド料の引き下げで対応したが、調整かっかず、全石連では、議員立法による法規制で流通秩序の確立を狙うこととなった。
 このような議論を背景に、新体系によって業転との価格差問題が解消されることも期待されている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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