日刊ニュース

2010.10.29 のニュース

早い冷え込みで灯油商戦に期待 ―夏場から低在庫が続き市況を維持―

26日、関東、東北地区は冷え込み、札幌も初雪となるなど12月の気温となった。今年は灯油シーズンが早く到来しそうである。猛暑の年は厳冬になるとのたとえもあり、短い秋から一気に冬となりそうである。灯油商戦に期待が高まる。
 灯油在庫は、前年に比べて低位で推移しており、積み増しが大幅に遅れているため需給はタイトとなっている。そのため夏場でも市況は、値下がりせずに維持され、このままシーズン入りとなりそうである。
 最近の原油価格(WTI)は4月に85ドル/バーレルに値上がり、5月には74ドルに急落した。その後は9月まで76ドル程度で推移、10月には値上がり、足元は82ドル前後となっている。5月から原油価格は下落局面であったが、灯油は夏場の不需要期が荷動きも少ないこともあって、値下がりは小幅で止まった。
 そのため、灯油の先物、業転市況は53円/Lで推移している。業転市況は、ガソリンが高値であるが、先物はガソリンに比べて灯油は高価となっている。これから灯油はシーズン入りで値上がりするため「灯油高のガソリン安」の価格体系となる。冬場の市況は灯油が主役となり、これに軽油、A重油も連動するため中間留分は増販、増収が期待される。
 ガソリンも夏場は猛暑で増販、増益で、元売、SS経営者は上期決算で利益を確保したことになるが、下期は灯油を中心に中間留分の増販で増収、増益を狙っている。
 灯油は需要期に入るため、不需要期の夏場に比べれば増販となるが、下期の販売の基調はマイナスが見込まれている。寒波が早まれば、増販となるが、電気、ガスヘの燃料転換は急速に進んでおり、ピーク時に比べると20~30%の減となっている。その結果、在庫数量も減少しているもので、足元の在庫は前年に比べて大幅に減少しているが、各社とも「安定供給には心配がない」としている。在庫のピークは11月末と見ており、これから増産して積み上げることになっている。
 仮に予想以上の増販になっても、直ちに供給不足にはならず、年末年始は問題ない。その場合、来年2月~3月で供給不足が発生しても、元売は輸入、増産で十分カバーできるとみている。輸入が自由化されているため、商社サイドも利益が見込まれ、商機となれば輸入で対応することになる。
 今年は夏場の市況が下落しなかったため、大手薪炭、商社、大手販売業者は、在庫の積み増しが遅れており、寒波の到来が早まると荷動きが一気に活発化することも予想される。その意味では在庫が低水準にあるため、増販になれば市況は値上がりする。需給タイトであるため、増販が直ちに市況に反映する環境は整備されている。
 在庫減は販売減を見込んで対応しているものである。灯油販売は天候次第であるため見通しは難しい。天気予報が当たる確率も半々であり、現に今夏の猛暑は予報を大きく外れている。最近は寒波の到来が遅れており、東京は12月に入っても冷え込まず、コートを着ない暖冬傾向が続いた。だが、今年のように冷え込みが3~4月まで続いたこともあり、予測は難しい。気象が変化しているが、石油業界では早い寒波到来を期待している。

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