2010.11.02 のニュース
円高でガソリン転嫁遅れる ―寒波到来で今冬の灯油商戦に期待―
ガソリンはユーザー転嫁に取り組んでいるが、為替が円高に転じたためコスト安となり苦戦となっている。石油情報センター調査(25日)によるとガソリン価格は132円30銭/Lで前週に比べて、わずか10銭の値上がりとなった。前週も10銭の値上がりのため、2週間で20銭の値上がりとなる。
軽油は112円60銭で前週に比べて10銭の値上がり。灯油のSS店頭価格は77円20銭で横ばい、配達価陥は83円70銭で10銭の値上がりとなっている。調査時点では灯油は不需要期であるため荷動きも少なく、市況の変動もないため、ガソリン市況に連動したことになる。SSに対しても実際に販売していないため価格を調査することは難しい面もある。
いずれにしても小幅な値上がりとなっているが、ガソリンについては、東京は横ばい、神奈川は逆に40銭の値下がり、千葉、埼玉は10銭の値下がりと、小幅であるが、パラツキが生じている。ちなみにJX日鉱日石エネルギーの10月のガソリンの仕切価格は1円20銭の値上げとなっている。これは週決めの価格を加重平均で集計したものである。この仕切価格と単純に比較すると、販売業者はユーザー転嫁ができず1円がかぶりとなっている。これから再度、値上がりを見込むが現状では難しい状況にあるようだ。
販売業者サイドでは10月の仕切価格の値上げを受けて、安値の120円前後のボトム価格を130円台乗せを狙ったが難航している。ここにきて為替が円高に転じたためコスト安になったこともある。だが、量販店は120円割れであったものが、121~2円に値上げしたが、その後は様子待ちとなっている。
10月のガソリン・ユーザー転嫁は、調査価格でみると、足踏みの状況となってきた。原油価格が80ドル/バーレルに乗せたが、為替が81~82円/ドルと円高が進行したため、先物、業転市況も弱気に転じ、ユーザー転嫁の動きも鈍ってきた。それでも5月からの連続値下がりに歯止めをかけることになり、その成果は評価できる。このまま横ばいで推移するのか、値上に転じるのかは、今後の原油価格と為替動向にかかっている。
円高が進行すると円高不況が心配され、石油製品全体の販売減が予想される。上期は前年比で横ばいであったが、下期ではマイナスに転じることが心配どなってきた。下期は需要期であるため、マイナスになっても上期よりは販売数量が増加するため、仮に前年比で減少してもあせることなく、マージン確保を優先するべきである。
一方、灯油は寒波の到来が早まりそうであり、増販が期待される。26日から札幌は初雪が降り、東北、関東も一気に冷え込んだ。年末の気温となり、灯油は荷動きが活発化してきた。今後は灯油が石油製品の市況をリードすることになる。灯油が早めにシーズン入りとなれば、元売、販売業界も活況を呈することになる。とくに灯油在庫は300万KL割れの低水準であるため、需給はタイトであり、マージン確保のチャンス到来となってきた。
それでも灯油は天候次第であるため、もう少し様子をみるべきであるが、シーズン入りが早まることは、灯油商戦には幸先の良いスタートとなる。