日刊ニュース

2014.11.10 のニュース

健全な市況構築を 安定的な供給システム実現

 経産省は、「LNG産消会議2014」を6日9時からグランドプリンスホテル新高輪・国際館パミールで開催した。 今回で3回目を迎え、約50力国から1000名を超える出席者があり、LNG市場の生産者、消費者双方の最新の動向について認識を共有した上で、市場の安定性、透明性の確保を前提とした市場の発展に向けた議論を深めた。
 また、同じ会場でJOGMECと米エネルギー省国立エネルギー研究所によるアラスカのメタンハイドレート(MH)生産試験の共同研究に関する覚書の署名式を行なった。立会者として宮沢経済産業大臣・ケネディ駐日米国大使も同席した。
 この契約は、米国アラスカ州におけるMHの生産試験の共同研究に係るJOGMECと米国エネルギー省国立エネルギー技術研究所との間の覚書であり、これに署名した。
 宮沢経産大臣は「健全な天然ガス市場の構築は、世界共通の課題と考えている。しかしながら、現在、天然ガス価格がアジアでは米国の3~4倍、欧州でも米国の2倍以上であるなど、地域ごとに大きな差があり、原油のような世界市場が整備されていない。
それゆえ、世界中に運搬が可能なLNGの役割が重要となっている。例えば、我が国も協力した、EUにおける天然ガスシステムの安定供給に関するストレステストの結果では、供給支障を補う役割がLNGに期待された。
しかし、備蓄が難しい特性に加え、仕向地条項に縛られた硬直的な取引形態や、地域による価格差などを踏まえると、石油のように迅速で柔軟かつグローバルな融通は必ずしも容易ではない。天然ガス市場の3割を占め、今後拡大が見込まれるLNG市場において、より安定的、競争的かつ柔軟な市場の発展が、世界の安定的な天然ガス供給システムの実現にとって極めて重要である」と挨拶した。
日本のLNG市場は「世界のLNG消費の約4割を占める日本で、福島第一原発事故を契機に、現在、全原発が停止しており、LNG火力発電が全発電に占める割合は5割を上回っている。一次エネルギーの化石燃料依存度が90%を超え、燃料費の急増により昨年は11兆円を超える貿易赤字となった。さらに、産業向けの平均電力価格が3割上昇し、産業の海外移転をもたらす結果となっている。
このような厳しい状況に対し、原子力については、安全性が確認された原発再稼働を進めていくこととしており、現在13原発の20基が申請中で、その中で、九州電力川内原発の2基について、9月に原子力規制委員会が新規制基準に適合していると判断し、再稼働に求められる安全性が確認された。
川内原発の状況と政府の方針を丁寧に説明した。100万kWの原子力発電所の稼動は年間約100万トンのLNG需要に相当するため、LNG需要も緩和されていくと考えている」と述べた。
 2016年には小売全面自由化が実施され、競争環境におかれた各電力会社は、LNGなど燃料調達コストを引き下げる真剣な取り組みを競い合うことになり、ガス事業でも、小売の全面自由化など、ガスシステム改革の検討を進めている。
「LNGの供給では、2016年以降、米国からアジアヘのLNGの輸出が始まり、いよいよシェール革命が太平洋を越える。現在米国がすべて許可しているプロジェクトは年間8000万トンに達し、アジア全体の需要の半分に匹敵する。日本は、需要の2割に相当する年間1700万トンの輸出承認を得ている。価格についても、現状の米国の価格を前提にすれば、液化と輸送コストを加味しても、現在の日本のLNG価格より2~3割安くなる。今後、豪州、カナダ、ロシア、東アフリカ、さらに米国の西海岸やアラスカ等、様々なプロジェクトが計画されている」と米国の輸出を評価している。最後に、「関係者が一堂に会し、変
化を先取りし、LNG市場の健全で持続的な発展に向けて議論を行う、オープンなプラットフォームであり、日本は、引き続き会議の発展を支え、LNG市場の発展に積極的に貢献する」と強調した。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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