2014.11.10 のニュース
石油・SS業強靭化の核心
最近、「レジリエンス」という言葉を見聞きする機会が増えた。「強靭化」を意味し、過去の災害を教訓に、今後発生しうる大地震などから人命を守り、経済社会が受けた被害を迅速に回復する“強さとしなやかさ”を備えたナショナルレジリエンス∥国土強靭化への取り組みが本格化している影響が大きそうだ。
なぜ国土強靭化が必要なのかを説明する国のパンフレットは、書き出し部分で1959年の伊勢湾台風が「災害対策基本法」制定の契機となり、95年阪神淡路大震災で耐震化や自助・共助の大切さが認識され、11年東日本大震災ではインフラ整備中心の防災対策だけでは限界があることを教訓として残したと指摘。また、先の大震災では「帰宅困難者の発生、ガソリン不足などが深刻な問題となった」とも記述している。
このような背景から、エネルギー基本計画をはじめ、国のあらゆる基本計画における最上位という位置づけで国土強靭化基本計画が6月閣議決定された。同計画では45の「起きてはならない最悪の事態」を設定、特に重点化すべき15プログラムを選び「社会経済活動、サプライチェーンの維持に必要なエネルギー供給の停止」「電力供給ネットワークや石油・LPガスサプライチェーン機能の停止」対策の重要性を謳った。また、そのうえで具体的に「円滑な燃料輸送のための諸手続きの改善等を検討する」「SSの災害対応力強化とともに、事業所等で自家発電設備の導入や燃料備蓄量の確保を促進する」「供給先の優先順位の考え方を事前に整理しておく」必要があるとも言及している。
まさに、いま我々の周囲で進められている取り組みが並ぶが、これらが着実かつ速やかに実行されることが肝要だ。そしてもう1つ、非常に大事な視点がある。「いかなる事態が発生しても機能不全に陥らない経済社会のシステムを“平時から確保しておくこと”は、地域住民の生命・財産・産業競争力、経済成長力を守るのみならず、(略)強靭化推進による新規市場の創出など経済成長の一翼を担う」などとされていることだ。
その方向性に沿うSS経営が、過当競争によって開花するとは考えにくい。多様な事業母体が津々浦々の立地で存在し続ける“しなやかさ”こそ、社会から期待される「石油販売業・SSレジリエンス」の核心ではないか。