日刊ニュース

2010.06.30 のニュース

時評 老朽地下タンク省令で規制を強化 -補強に国の補助求めるも難航-

SSの地下タンクでの油流出事故防止で危険物の規制に関する規則が強化される。省令の改正案が4月に提示され、施行は平成23年1月からとなるが、猶予期間として2年間が設けられている。以前から環境問題として、SSでのガソリンなどの流出による土壌汚染が指摘されており、事前の防止策として規制が強化されることになったもの。
 規制強化は予想されていたが、法律での規制強化となり、販売業界としては現在のように赤字経営が続く状況では経費増となるため、対応に苦慮している。規制強化で地下タンクの補強に対する経費増が負担できず、廃業に追い込まれるSSが増加するのではないかと心配されている。赤字のため年間約2000SSが減少しているが、さらに減少に拍車がかかることになる。
 改正点は、①地下タンクの腐食が特に高いもの(設置年数50年以上、外面モルタル塗装)については、埋設されたままの状況で内面全体に一定以上の厚さに強化プラスチックを被覆するか電気防食(タンクの外部から直流電流を流すことで腐食を防止)をする、②設置年数40年以上の地下タンクには、①に掲げた措置又は危険物の漏れを早期に検知するための装置(常時監視など)を設置することが義務づけされる。新設については、すでに二重殻タンクとなっている。
 今回、規制の対象となるタンクは、設置して40年以上のSSでみると、全国に約4OOOSSあり、1SS当たり4本のタンクが設置されているとすると1万6OOO本のタンクを補強、修理する計算になる。本来、黒字で再投資が可能な利益を確保していれば経費を負担できるが、赤字が続いているため再投資は難しい。
 SS数はビーク時の6万SSから自由化を境に減少、現在は4万SSとなっているもので、ガソリンの需要は、若者の車離れ、ハイブリッド車などの低燃費車の普及、EVの登場などで年間3%の減、10年後には30%減という見通しも出ている。加えて土壌汚染問題が絡んで環境規制が強化される。また、対象となる老朽化したSSは地方や過疎地に多く、販売業者も小規模である。そのため規制強化に対して補強などの再投資をしてもコストを回収できず黒字が見込めないと生き残りが難しく、廃業に追い込まれることになる。
 また、SSを廃業して不動産として売却する場合も土壌汚染問題をクリアしないと売却できない。規制対象物質であるベンゼンなどが検出されれば土地の改良が求められる。さらに地下タンクの徹去にも経費がかかる。この撤去費には国から「土壌汚染環境保全対策補助事業」として補助金が支給されていたが、昨年11月の事業仕分けでは、予算の無駄使いであるとして廃止となった。その後の調整でタンクの徹去や入れ替えで一部復活した。
 このようにSSの地下タンクを巡っては、土壌汚染が絡んで多くの問題をかかえており、老朽化したSSのタンクの補強に対して、国の助成制度を求めることにしている。
 しかし、無駄な予算として石油販売業界に対する助成策を大幅に削減しているため、老朽化したタンクに対して補助金を支給するための予算を計上するのか、今後の予算要求にかかってくる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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