2010.11.09 のニュース
収益増こそ経営革新への一歩
いわゆるエコカー補助金が9月で終了し、クルマ販売台数に急ブレーキがかかった。日本自動車販売協会連合会による10月の普通・小型乗用車販売台数は前年比29%減という。
ハイブリッド(HV)の代名詞プリウスも車名別ではトップ独走だが前年比2割減、前月比では3分の2となった。
翻って各月のガソリン販売は、内需減退といっても、平時なら最大でも前年比5%減レベルで、この7~9月は猛暑の影響で3ヵ月連続で前年比プラスを記録した。ガソリンは補助金の原資・エネルギー特別会計の充填される石油石炭税は課せられていても、販売促進に関して助成を受けたことはない。せいぜい悪夢のような暫定税率(特例税率)の期限切れと復活劇があるのみだ。
09年度はHVの販売台数が45万台を超え、登録車全体の14%を超えた。
HVの販売シェアが年度で1割を超えたのは初めてという。今年度はプリウスのみですでに19万台。下半期はライバルのフィットにHVが加わったことで、ほぼ2割=5台に1台がHVという見方が浮上している。
ところがセミナーなどで聞くクルマの進化論について、当面の主流はHVでも、EVでもなく、実は内燃機関という解説が多い。ガソリンエンジンでは、ターボ搭載が相次いでいる。かつては高出力を得る目的だったが、21世紀のターボが担う役割は省燃費という。排熱に弱点がある
ガソリンエンジンに対して、省燃費余地が格段に大きいディーゼルエンジンも、その進化を止めていない。欧州の主流はこのディーゼルだ。
これから普及が本格化するであろうEVについても、確かにクルマ自身は環境負荷ゼロという売り文句通りだが、原発依存を高める電力会社が発電する電気に依存する限り、既存のエンジン車よりも、その環境性能は大きく劣ることになる。エネルギー効率でも、発電した電力の送電ロス、バッテリーに蓄えることで生じるロス、モーターによるロスなどがあり、100の投入エネルギーに対して、使用可能なエネルギーは35という。
HVやEVの普及、進化は進み、燃料電池車も5年後をターゲットに本格的に市場投入される。こうしたクルマの進化をじっくりと見据えながら、SS業界はクルマから地域社会へと目を転じて、今後の変化に革新的に身を投じたい。そのための第一歩は収益の良化である。