2015.02.17 のニュース
原油相場に惑わされない
原油が下げ止まりの気配を強めている。昨夏に110㌦超まで達した中東産原油だが、秋口以降は一転して棒下げとなり、半値以下へと突き進んだ。1月中旬に最安値の42㌦台を記録して以降は45㌦を挟んだ小幅推移が続いたが、2月に入ると今度は値上がりに転じ、現在は55㌦前後まで値を戻して小康を保っている。
このまま上昇に向かうとの見通しもあるが、一方では、再び値下がりに転じて20㌦台まで落ち込む可能性まで指摘され、全般的には不透明感が色濃い。専門家筋の分析も、値上がり、値下がり、横ばいとあらゆる見通しが錯綜し、ほとんどなんでもありの状態といっていい。
原油価格がこれほど乱高下する原因も一筋縄ではいかない。基本は需給であり、シェールオイル増産により供給が拡大する中、中国経済の減速などで需要が減少し需給バランスが崩れたことを主因とする見方が有力だが、原油輸出に依存するロシアやイランへの制裁強化の意味合いや、イスラム過激派による資金調達の抑止など、一見副次的と見える事象こそが遠因とする指摘も少なくない。
結局、原油価格が今後どう動くかも、原油価格をこれほど激しく上げ下げする要因がなんなのかも、諸説紛々としてなにひとつ明確にはなっていない。当然といえば当然だが、その原油価格の動向に商売の行方を大きく左右されるSS業界としては、非常に気になるところではある。
年明け以降110円台まで登場したSS店頭価格は、元売の仕切値上げを受けて、ここへきてジワリと値上がりする気配を見せている。しかし、原油価格の動きに合わせた仕切価格の上げ下げがあまりにも頻繁に行われてきたため、そもそも末端市場がついていけていないという実態も垣間見える。そして、それ故に仕切価格に対する不透明感や不信感が増幅されているとの指摘もある。
個々の販売業者が採算水準に近づけるか否かは、今後の市場の動き次第となりそうだが、この間にも原油市場が新たな局面を迎える可能性は否定できない。しかし、それに目を奪われ過ぎてしまうと、肝心のSS店頭での価格対応を見誤りかねない。SSはあくまでも、コストに見合った価格でお客様に販売しなければ商売が成り立たない。原油を巡る動向は相変わらず不透明極まりないが、それに惑わされることなく日々の商売を営むことが肝要だ。